さいごに、お囃子のなかで。

盛岡を思い出すと目に浮かぶのは、中津川のある風景です。川は街を分断することなく、馴染んでいました。川を中心に歩くだけで楽しい、そんな街。この風景こそが盛岡の財産だと思います。

澄んで透明な水面。川幅は広すぎず狭すぎず、両岸の人同志が手を振って声を掛けられるくらい。注意喚起の看板も落書きもゴミも無く、芝生の手入れが行き届き、老若男女がのんびりと時を過ごす穏やかな河原…。中津川には盛岡の街そのものが投影されていました。それは店や街並みに繋がる「盛岡の人々の暮らしそのもの」。出会った人々の顔を思い出します。
この美しい景色は自然が産んだものであり、そこで育った人々は恩恵を受けるだけではなく、厳しさと戦い、鍛えられたことでしょう。そんな自然環境がそこに暮らす人々の気質をつくり、その気質によって日々の暮らしの中で生み出されたものがある。いきなり出来るものではなく、時間をかけたからこそのもの。

夜になるとどこからか、祭ばやしが聞こえてきました。
8月4日〜盛岡さんさ踊りが始まるそうで、その練習があちらこちらで行われていたのです。

この映像は河原脇の公園で撮りましたが、川の流れとヒグラシの声の向こうから、お囃子が聞こえてくるのがわかりますか?
なんだか「夏!」って空気がもう、たまらなくって、旅先でこの気分を味わえるなんて幸せだなあ。本番を見ることが出来なくて残念だけど…。


花火大会のポスター、素敵。こんなところにも「盛岡らしさ」が感じられるのです。

初めての東北旅、盛岡。暮らすように旅をした数日間。散歩する街だったな。良い街だったなあ。