6月のパリの空を想像してみる、ARLT 、そしてロメール。

帰宅時のむわあっとした暑さはすっかり忘れていたあの感覚で、あーそうだった、東京の夏はこれくらい湿度が高くてねっとりするんだよなあとウンザリした。アア、イヤダイヤダ。電車に乗るとキンキンに冷房が効いていて、一気に汗が引いてヒヤッと肌寒い。鞄の中からストールを取り出して首に巻く。これでも例年より空調を使っていないのだろうか?
東京から抜けだして、行ったことのない街へ。

LA LANGUE

LA LANGUE

今聴いているのはこちら。4月頭くらいに買ったと思うけれど、気に入っている*1
パリの男女2人組で「ギターと唄」のシンプルだけど深く滲みていく音。そしてヒリヒリする。何処かに閉まった傷を炙り出すよな音。彼らは何かを知っている。
vincent moon(!)による映像も素敵。
Take Away Show #112 _ ARLT (part 1)
Take Away Show #112 _ ARLT (part 2)


パリといえば、先日、下高井戸シネマロメール特集で「春のソナタ」と「冬物語」、そして「木と市長と文化会館 または七つの偶然」。どれもスクリーンでは初めて見た。
ロメールの映画を見た後の気持ちはなんだか書き表しづらい。クッと天から引っ張られて、ぱあっと自分の中から広がるこの感じ。言葉の応酬から見えてくる人、ひと、人。それが交わされるのは光と色の舞う街と部屋、小さいけれど大切な世界がここにある。人々が暮らす街をどうつくっていくかということ。自分が死んだらこの街も終わるのではない。ずっとずっと続いていく(そのために今何をするか?)。樹の下やカフェで言葉を喧々と交わしあい、路地を歩き、海辺を歩き、風がオンナノコの髪を揺らし、光がその笑顔を輝かせ、その姿にオトコノコが恋をスル。それが永遠にループするってなんて幸せなことなんだろうか。そして(だからこそ)不意に「奇跡」が起こる(のをつかまえられる)のだ!

*1:イジワルな言い方するけど、日本盤の帯の、買い手を信じて無さそうな文面が勿体無いです。ジャケも本国と変えているのだろうなあ。