花つみ日記/グッバイ・マイ・ファーストラブ/生きてるものはいないのか/おとなのけんか/実演!淫力魔人


最近見た映画をざざっと記します。

「花つみ日記」
監督:石田民三 原作:吉屋信子 1939年公開の日本映画。大阪の宗右衛門町を舞台に、花街の置屋の娘栄子(高峰秀子)と、東京からの転校生みつる(清水美佐子)との友情の物語。(wikiより抜粋)
やっと見ること出来た。すばらしかったなあ。古い白黒のフィルムだからこその色調と陰影がなんとも美しい。どのシーンも影を生かした構図が絵画的にバチっと決まっていて痺れる…。とてもモダン。だから女学生のやわらかく愛らしい感じもキュッと締まっていて、単に「かあいらしい」映画ではないのです。甘いだけじゃないんだよ。脚本も良くってぱたぱたぱたっと展開していくからすっと胸に入っていく感じ。それにしても、高峰秀子の憂いと諦念を湛えたまなざしたるや…!


「グッバイ・マイ・ファーストラブ」
監督・脚本:ミア・ハンセン=ラヴ 
洗練された「感覚」と「知性」をあわせ持ち、その高さとバランスが見事だなあ。こういう映画ってあんまりないように思う(って私の少ない映画鑑賞本数でいうのもなんですが) 粗筋だけみるとよくある話であるし、自分の過去のドコかをふっと思い出すのに、これはどこにもない映画だった。瑞々しさのなかに達観したまなざし。ひかり。やわらかくキリリとしたひかり。街並みや音楽や服装が今回もとってもよい! こういうところにミアの暮らしが滲み出る。街も山も海もからだできちんと知っている。それと同じように音楽とファッションが日々の暮らしの中にある。マフラーが歳を経てもずっと同じなのが好き。今回の上映は日仏会館での「フランス女性監督特集」でした。ミニシアターも減り、一般公開される映画も少なくなった昨今ですが、配給が決まって欲しいと切に願います。映画がイベントになって欲しくないなあ。


「生きてるものはいないのか」
監督:石井岳龍
緩いフレーズの反復が延々続いた果ての轟音カタルシスでドーン!!て具合の、パンク精神を持ったポストロック的などと敢えて言ってみる。爆音で見たほうがメリハリついてよかったかも。つか、ユーロは音響良くないね…。ひさ子さんの音は自身がファンだというdipの3rd らへんに近しいなあー(またこういうことを…)。前田司郎の同名戯曲を映画化したもので、台詞回しがなんというか「演劇的」と感じ取ってしまい、ちと苦手。会話が微妙にズレていくところは現実感があって好き。そんななか、染谷将太が「部外者」といった按配の浮遊した雰囲気で良かった。


おとなのけんか
監督:ロマン・ポランスキー
こちらも舞台を映像化。どういう経緯でこのヒトがやることになったんだろか。上手い監督が上手い配役で上手い役者を使ってサラっとズバッと作った感じ。ヴァルツさんが特にスバラシイ〜。絶妙。スピーディーな展開でオモシロイんだけど、私が好きになる映画ではないなあと思ってしまった。


「実演!淫力魔人/イギー&ザ・ストゥージズ

ゴッドファーザー・オブ・パンク!裸の魔人、イギー・ポップザ・ストゥージズによる、不滅の超強力狂気パンク名盤3rdアルバム『淫力魔人(原題:RAW POWER)』(1973年作品)の全曲実演!公募で選ばれた6人の狂喜乱舞するファンたちがそれぞれのカメラでこの興奮の魔人の姿を激撮!2010年9月3日、ジム・ジャームッシュがキュレーターを務めたAll Tomorrow’s Partiesでのライヴだ!『淫力魔人』の全8曲のほか、アルバム『THE STOOGES』や『FUN HOUSE』からの名曲も含む全16曲を還暦を超えての驚異の実演!イギーが裸で吠えて、体を捩じらせまくる!!パンクはおろか、ロックが死に絶えつつある現在、熱い魂を呼び覚ますためにも魔人の裸パワーが必要だ!!全ロック人類必見必須の実演映像!

公式サイトの紹介文がオモシロイからそのまま引用、すみません。
楽しかったー。イギーのエンターテイナーぶりがスバラチイ!イギーのお腹はいったいどんなコトになっているのか気になりつつも、吠えまくるイギー!狭いステージに客をガンガン乗せてしまい満員電車状態になりながらも、あくまでもステージ前方真ん中で唄うイギー!「歌詞、MC、嗚咽等すべてを日本語で表現する恐るべき字幕!」というのもオモシロカッタ。とにかくイギー愛に溢れる映像。音がもっとガツンガツン出てて欲しかったけども。