ポルノスターと青い春

新作公開&初期作品DVD−BOX記念のリバイバル上映!待ってました!ついでに言うと、ライブも一緒にやってくれないかなーと密かな想いを抱えておりましたが、無いよねーそりゃ。月末にライブ迫っているしね。。。
「ポルノスター」は何度見てもおんなじところでビクッとしてゾクッとして惚けて、、寂寥感ともどかしさと、カラカラした想いがぐおんぐおんと回り続ける。
ジャックナイフで空虚なまなざし、ナイフの雨、スケボー。そんな映像に切り込むのは、ヤマジギターの鋭く重く、時に優しく切ない響き。”坂の途中で”鳴り続ける音。この映画にはdipがよく似合う。
この作品を見て改めて思うのは、渋谷は坂の町であること。桜丘の急な坂道を下り、駅が谷底。ここから公園通りを通って再び坂を上がる。桜丘の坂の上と公園通りの坂の上、スリバチ状の地形はそのまま勢力図になるのだろうか、駅を挟んで旧来型と新型と。
98年は三和銀行あるんだなあとか、HMVは移転前(ちょうど千歳会館跡に建設してる)なんだなあとか、シスコはもう無いよとか、パルコの先にミスド(50’sな外装が泣ける!)あったよなあとか、宮下公園とか宮下町アパートとか美竹ビルとか、、、渋谷という街の記録映画としても素晴らしい。今も既に「懐かし映像」になっているけれど、更に何十年も経った時に名画座でかかってほしい。今神保町シアターなどで昭和30年代の映画を見てワクワクするように。映画は時代を映しだして欲しいとは思う。
DVD化でレンタルでも鑑賞可能になったのもめでたい。
以前書いた感想→ http://d.hatena.ne.jp/mikk/20091209/p1

青い春 [DVD]

青い春 [DVD]

そして「青い春」、こっちもはああ、、久々に見たけどやっぱりスゴイ。凄まじい映画。
冒頭からウヒョー!とさせられっぱなしなわけですが、特に後半の、加速する凄みと切れ味ったら!
キャラクターのそれぞれがこれまで過ごしてきた(作中では見えない)日々が眼差しと背中に表れていて、役者の起用(みんな今や大人気だもんねえ)や音楽の扱い(!!!)に独自のセンスがあって、豊田監督はとんでもない眼力と聴力を持っているなあと改めて思う。
龍平の、若さゆえの諦念と虚無を浮かべた冷めた眼差しには妖気が漂い、ゾワッとさせられる。恐ろしい子…!
んで、「青い春」はミッシェルなんだよね、やっぱり。青い焦燥感。そして刹那。切っ先。
でも「ポルノスター」はやっぱりdipだ、あの荒野をずっと走り続ける。今顧みると、「青い春」なミッシェルは解散してしまい、「ポルノスター」なdipは「ナイン・ソウルズ」を経て、今も続いている(しかも漸く歯車があった感じ!)ってことが感慨深い。。。
各作品で音楽担当は違うけれど、作品ごとの世界観に合わせて、監督が普段聴いている音楽の中からチョイスしているようで、映像と音楽のほんとうの意味でのクロスっぷりに、わかっていらっしゃるなあと痺れてしまう。
「ポルノスター」が渋谷ならば、「青い春」は団地に囲まれた高校というロケーションがまた素晴らしい。この高校もちょうど谷底なエリアで、回りを中層の団地とその向こうにそびえる高層の団地に囲まれている。渋谷だの新宿だの大都市付けではない、郊外の街のなかにある、巨大団地というひとつの「街」の、高校という「箱庭」感がミシミシと感じられるのです。


新作も楽しみでっす!