「喜劇 女は度胸」

喜劇・女は度胸 [DVD]

喜劇・女は度胸 [DVD]

ちょっと前のこと。森崎東監督の最新作「ペコロス」が素晴らしかったので、特集上映で1969年のデビュー作をオーディトリウムへ見に行く。これがもう、傑作だった。最初っから既に完成されてるの!うひゃああって心の中の声が外へ出ちゃったかも。森崎監督作については熱く語られるのをよく見かけたけれど、そうなるよなあ。。。映像も物語も人物造形も役者陣も全て素晴らしいのね!巧みに構成されているのに鼻につくところが無く、テンポ良くタッタカ進んでく。みんな生きてる熱がびゅうびゅう出てる。笑って泣けて苦しくなったり喜んだり、描き方に苛々したり気恥ずかしくもなったりするけれど、それらすべてが監督が見せたいことなんだろうなあ。
倍賞美津子もカワイイんだけど、やっぱり清川虹子のカッコヨサに痺れる!貫禄タップリ且つ切れ味鋭くスッパリと。ラスボス的な堂々っぷり。渥美清の軽妙さもいいなあ。「いい加減」なバランスがベッタベタにウマい。
それと蒲田から羽田空港近くの舞台がよかったな。海にほど近い川沿いに建つ木造家屋と青赤のネオン。京急の踏切。街の切り取り方がほんっとよい!ペコロスのときも思ったけれど、彼らが住んでいる「この街」が空気と匂いを持って描かれているから、彼らが生きている熱がびゅうびゅう吹いてくるのだなあ。
男はしょうもなく女は逞しく、デビュー作も最新作も一貫して変わらない。終わったときの館内の、熱を帯びてほどけたような空気に包まれて渋谷の街の喧噪を通り抜けた。