オトメ二本立て「滝を見にいく」→「おとぎ話みたい」

12日に見ました。このハシゴはナイス二本立てではないかと・・・!

「滝を見にいく」

武蔵野館にて。沖田修一監督の映画には品がある。笑いと泣きがしみじみと襲ってくる巧さを素直に受け入れられるのは、品の良さ故だと思うのだ。観光バスや山の狭い道を縦に動かして、登場人物のひととなりを実にさりげなく伝え、関係性の広がりに無理がない。遂に「見た」シーンが意外なほどにエモーショナルじゃないのもまた、ナルホド。そういう描き方に監督のまなざしが感じられる。大切な1本にはならないけれど、これからの人生のポケットに忍ばせておく愛すべき作品。山という非日常のファンタジー。88分って上映時間とイラストを使った宣伝も、うまいなー。

「おとぎ話みたい」

テアトル新宿にて。「スミスが好きなの?私も好き」といったのはサマーだけど、よもや「ピナ・バウシュが好きなの?ボクも好き」なんてキッカケが作られるとは。2013年公開作品をアップデートした本作は、今年3月公開の「5つ数えれば君の夢」よりも最新型で格段にヨカッタ。60分に満たないけれど濃厚。ニードルでキリリとこころの奥底を突くなあ。高揚感多幸感のつくりかたがPV的で、感情がパーン!と瑞々しく儚く弾ける瞬間にわー!となりながら、バンドパートが苦手すぎて、気持ちが忙しかった。山戸結希監督の映画がテンション高めでアツく語られるのはわかるんだけど、olive文体が苦手だった私にはイマイチ素直に滲みていかないのだなあ。映画上映が都度イベント状態で「体感しないと!」てところとか、監督の喋りっぷりも含めて「ああ、こういう時代なんだなあ」と。勿論否定はしないし楽しいけれど、こういう作風ならば孤高の存在であってほしいなあと老人は思うのです。だからこそ、少女の物語と思いきやラストカットで「通り過ぎたアナタへ」になってることに、来年も監督の映画を見ようと感じたのだ。


2014年師走のオトメ新旧二本立て。もうオバチャンの域の私としては、「滝を見にいく」の名台詞「40過ぎれば誰でも一緒よ!」を、「おとぎ話みたい」の高崎さんに捧げたい気持ちでイッパイ。