「東宝スタジオ展 映画=創造の現場」

世田谷美術館にて開催のこの展示はホンットに楽しかった!
初期の撮影風景写真にワクワクし、撮影スケジュール表にのけぞり、絵コンテの監督ごとの個性がとても面白いし、山中貞雄の死亡通知なんてまさかこんなものまで!なものばかり。黒澤明三船敏郎にあてた弔辞には泣いてしまった。。。個人的に嬉しかったのは「君にも出世が出来る」の衣装デザイン画!興奮してしまった。描線も色も繊細で美しくて、素敵なんですよぅぅぅ。
映画というものは実に多くのプロフェッショナルな仕事に支えられていて、様々な分野とリンクしているのだと改めて気付かさられる。その後専門分野で活躍する方々が実は若かりし頃に東宝のスタジオで仕事をされていたということも、結構重要な要素では。
今の日本は映画製作から公開に至るまで、なかなか大変な時代ではある。しかしこれを軽視したまま数十年過ぎてしまうと、後々違う意味で大変な時代になってしまうのではないだろうか。東宝の作品年表を見たら「踊る」以降、明らかに毛色が変わっていて、時代の波を感じてしまった・・・。

2階では「世田谷に住んだ東宝スタジオゆかりの作家たち」というコレクション展があり、こちらも必見で、梅原龍三郎が描いた高峰秀子肖像画の数々が彼女のコメントとともに嬉しかったなー。目に惹きつけられたんだなあ。あとどなたの作品か失念して申し訳ないのだけど、昭和30年代の祖師谷の風景画があって、そこには祖師谷住宅と給水塔(とっくり型!)が描かれていておおおおおおおおお!!!今ほど周囲になにもない頃で、そりゃあ異風景として刻まれるよなあ。
また、その奥には写真家の宮本隆司さんのミニ特集。全然話題になっていないのが不思議な素晴らしさ。旧豊多摩監獄の内部にゾクゾク・・・!筑波万博のパヴィリオンやサッポロビール恵比寿工場の解体される風景など、ゼラチンシルバープリントの美しさとともに記録としてもとても貴重な作品で、見ることができて良かったなあ。こと、数日後に恵比寿映像祭でガーデンプレイスに行ったこともあり、いい機会でした。