僕ときみ、そして音楽 : 早川義夫、宍戸幸司、ヤマジカズヒデ

渋谷lastwaltzにて。以前「青い部屋」時代にdip見て以来だからヘタすると10年以上ぶり?な場所。
今日のライブは早川義夫さんと宍戸幸司さん、それぞれのソロにギターで数曲ヤマジさんが参加という、ちょっと変わった内容でした。着席でありがたかったです(切実)。

開演は30分近く押して、まずは宍戸さん。ソロでは初めて見ます。割礼のときと変わらぬ超絶スローモーションな演奏と唄声は、ひとりだと更に際立ち、場の時間枠を変容させるのです。その”間”にスッと入り込んでしまう……。「ためらいのない」ギターがとても素晴らしい。硬質なのにヨレていてでもカチッとしてて、いったいなんなんだろ。「宍戸さんの音とテンポ」が存在していて、他者に合わせるのでもなく合わせろと強いるのでもなく、他者を気にすることもなく、ただ鳴っている。その迷いの無さ。練習して作られるのではない、唯一の揺るぎ無い音。その存在感。ヤマジさん入っての「ゲーペーウー」はわああ!とシビレて感慨深くもあり、最後アンコールの1曲目で2人でやった曲なんかはすんばらしくて、ふたりでまたやってくれないかしら。

早川義夫さんのピアノと唄声は芯が強くてのびやかで、何処かに歳を経ただけの哀しみ一匙を握りしめていて、こちらに向かってくる力があった。それでいてMCではにこやかにされていて、だからこそ唄に込められた強さが増して感じられた。
宍戸さんが参加し唄う「からっぽの世界」は、やっぱり宍戸さんの曲になっていて、凄かったなあ・・・。
ヤマジさんがギターに入り「君でなくちゃだめさ」。ヤマジギター炸裂! カッコイイ〜。唄い終えるやいなや、早川さんが「やー、ギターかっこいい!この曲をやるのはひさしぶりで前は佐久間正英が弾いていたんだけども……。ヤマジくんのギターは素晴らしかった!(うろおぼえ)」と仰った声色と表情に昂揚されているのが伝わってきて、その言葉を受けてはにかんで嬉しそうなヤマジさんが今日のハイライト。

ヤマジさんのフレーズには双方に対してこれまで影響を受けてきた敬意が感じられ、自曲が無いとはいえギターに徹していたせいか、フルスロットルで踏み込んでいた。それが功を奏した場面もあったけれど、特に最初のほうで、ギターソロでの満を持しての増幅音が強すぎてガビガビに聴こえたのが(PAとの相性かしら)気になってしまった。もうちょっと寄り添うというか引いた音を堪能したかったかな。とはいえピロンと鳴らされるとやっぱりヤマジさんの音色だなーってしみじみ思ったし、宍戸さんとの違いが興味深かった。

アンコールでは先ほど書いた宍戸&山路の演奏のあと、3人で「堕天使ロック」、急遽リハもなく始めたようで荒々しくそこがまたカッコヨカッタ。早川さん67歳、宍戸さん52歳、ヤマジさん49歳。この歳でこんな演奏っぷり、凄いよねえ。


帰り道。渋谷の駅チカとはいえ繁華街の喧騒とは逆方向のため、ぼーっときもちよく駅へ向かうことが出来たナア。こんな企画を立ててくださってありがとうございました!先月のUFO CLUBのときと同様、企画された方あっての対バンはとても良い。ただライブハウスでやればいいでもなく、なんとなく系統が一緒?って組み合わせでもない、ファン目線と目利き視点を両立して編まれるのがいいんだなって思います。