11月中旬。昼前に着いた広島では雨が降っていました。コンビニでビニール傘を買い、オッチャンの作るお好み焼き屋で昼ごはん。そこから歩いて向かったのは世界平和記念聖堂。
■世界平和記念聖堂
原爆犠牲者を弔い、世界平和の実現を祈念する場として建設された教会。昭和25年8月6日着工、昭和29年8月6日に竣工。コンペが行われたものの1等は該当者なしとされ、審査員であった村野藤吾が自ら設計することになった曰く付きがあるものの、ほんとうに素晴らしかった……。
外観の細工の美しさ!
外壁には広島の川砂を使用しているそう。そして聖堂へ入らせていただきました。
足を踏み入れた瞬間、シンと静まり返り研ぎ澄まされつつ、穏やかな空気に包まれ息を呑む。
練習中らしいパイプオルガン演奏が響き、ステンドグラスから光が降り注ぐ。
密やかで荘厳な空間に泣きそうになりながら、暫くのあいだ放心しました……。
初日の雨は翌日激しくなり、3日目の朝は青空!最後にもう一度見に行きました。
随所に日本的なデザインが施されています。
中に入ると・・・
ステンドグラスによる光の絵画が壁に映り、太陽の傾きによって少しづつ動いていく様は天使が翔んでいるよう。このような姿はこの時期この時間の晴れた日のみだそう。また来てよかったなあ。。。
初日には平和記念公園へも向かいました。
■広島アンデルセン
商店街の一角にあるこの建物は、1925年に三井銀行として営業を開始した後、1967年に「広島アンデルセン」となっています。その後増築・改装を繰り返していますが、現在の耐震基準に合う改築は構造上やコスト面から難しく、外壁を活かす方向で建替えることが決定されました。朝から開店しているカフェが人気ですがとても狭いため、客をさばき切れないに見え、アンデルセン側としても拡大したいところでは無いかと。むしろ手放し、他の用途で活用したほうがよいような印象を受けました。今更ですが……。
さて2日目は朝から広島市内を建築散歩。八丁堀から歩き始め、まずは昨日の記事に書いた「市営平和アパート」へ向かい、京橋川を渡り少し歩くと
■旧陸軍被服支廠倉庫
煉瓦造りの倉庫が住宅街にひっそりといきなり現れます。
軍服や軍靴を製造する工場の倉庫4棟が被爆時の爆風にも耐えて現存。1913年に出来たこの建物が歩んできた歴史が、しかと感じられるのです。
鉄扉が変形しながらも残っている。
ずらりと並ぶ姿は圧巻。煉瓦造りではあるけれどそれは壁のみであり、内部の柱や床はコンクリート造と珍しい構造。施工時の大正2年当時は試行錯誤をしていた時期だったようです。中心地から離れているので観光客はなかなか来ないだろうけれど、広島が歩んだ歴史を実感出来る場として重要な意味を持つ見るべき建築物でした。
詳細はアーキウォーク広島のこちらの記事を是非 → 「場(サイト)が持つ力_旧陸軍被服支廠倉庫」
ここから南方へ歩みを進めます。
■宇品線跡
広島駅から宇品港を結ぶ国鉄路線で、日清戦争の軍事専用線として建設。沿線には軍需工場があったため、先程の被服支廠倉庫があるのね……。原爆投下時は比較的被害が少なかったことから負傷者の輸送を行った区画もあったそう。戦後は市民の足となったものの、自動車の普及により1966年に旅客輸送廃止、1986年に貨物輸送も停止されて廃線となりました。現在ではところどころに残された廃線跡を辿ることが出来ます。
西へ進み、路面電車は走る通りへ出ました。
■ ソットスタッツィオーネ
一風変わったこの建物。よく見ると庇などデコラティブでアール・デコな意匠が伺えます。旧中国配電南部変電所で、1943年建築というから第二次世界大戦まっただ中!
被爆建物として残っていたところ、改装し”ソットスタッツィオーネ”というイタリアンレストランになったらしいのですが、どうも今は使われていないみたい。管理が難しいとは思うけれど、カフェやギャラリーなどとして受け継がれて欲しいです。
■広電本社前停留場
ここから再び広電で横川駅へ。JR山陽本線に乗車し新井口駅下車、で昨日の記事の鈴が峰住宅に続くのであった。
今回の建築散歩は、アーキウォーク広島が執筆を担当した建築ガイドブック「アーキマップ広島」が非常に参考になりました。エリア別のマップと建築の写真・解説はとても見やすいし、土地勘のない私にもわかりやすく、散策しがいがありました。
http://www.oa-hiroshima.org/book/book.html
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広島の街が持つ魅力に触れることが出来るのではないでしょうか。
■あれこれるるる
広島のマンホール
「あぶない」カープ少年バージョン!
ナイス蛸
おじいちゃんおばあちゃん
よい子とわるい子の違いは・・・
この子カワイイ!
県営住宅の壁面を広告スペースにし、尚且つこんな内容のものを・・・
ぽつーーーーーん。
昨年に続いて2度めの広島旅、前回伺って好きだなあってお店にまた行ったり出来たのも嬉しかったなあ。広島駅前は再開発がますます進んでいるし、戦争を経て継承されてきたものをどうするか難しい問題を抱えているからこそ、広島の街を歩いて知って、どういう都市であるかを体感しなければならないことを思いました。