【3】全ヤマジ参加ライブ / 3月31日(木) 下北沢GARDEN  

・出演: dipヤマジカズヒデ、uminecosounds
自身の芯ともいえるソロ、フロントマンを担い自負のあるdipに対し、各メンバーが持つ演奏力や個性が発揮されるuminecosounds。
ヤマジの印象を決定づけるダークで閉じた長年のあいだに作り上げてきたものが実のところ今の基盤になっていて、若いときに対外的に消耗しなかったからこそ、今があるように思えます。今も変わらずギターをかき鳴らし続け、その表現は歳を経た深みがありながらも瑞々しさを増していて、ホント恐ろしい人ですよ……。

** ヤマジカズヒデ ソロ
バンドメンバー:須藤俊明(b) 石橋英子(key.fl) 山本達久(dr)
新旧取り混ぜた選曲は特に好きな曲ばかりだし、演奏が素晴らしかった。「天使」の豊潤な音色には時を超えつつ今があって、泣けました……。「human flow」は石橋英子さんのフルートが絶妙で、ひとつ上の楽曲になっていました。素敵だったなあ。若さゆえの独りの王国であったあの世界が50歳を迎えた今、信頼できるメンバーに託しながら鳴っているなんて素晴らしいことだ。そして何よりも私はヤマジさんの唄声が大好きだ。

** uminecosounds
一転してにぎやかなステージに。「イエロームーン」は最後のとこで不思議な昂揚感に包まれて泣きそうになるし、ライブで披露は初の「bend your head」カバーは古里さんが唄うとまた異なる感傷が生まれる。かと思えばやっぱりコテさんが笑いの種を巻き続け、ヤマジさんも笑って返したり、こんな和気あいあいとした雰囲気はこれまでのヤマジ像では考えられないわけで。今の状態に至ったのはウミネコの影響も大きいよねとライブを見る度に思います。そういう存在をヤマジさんが潜在的に呼び寄せたのかもしれません。

** dip
淡々とどっしりと作り上げられる演奏に、ああ以前は不穏な緊張感が走っていたよなあと思い出した。切っ先の鋭さだけであてもなく走り続け消耗するのではなく、表情豊かで瑞々しく、どこまでも行ける余裕を感じさせる音。新曲は何処に行くんだろう?ってワクワクするほどカッコイイ。かと思えばlust for lifeで数回やり直したりとか、三者三様なプレイとか、先の2バンドに続けると目立ってしまうよな失礼ながらいい意味でのダメっぷりがdipらしくもある。でもねやっぱり、一番カッコイイんだよ、dipが。(断言)本編でのmodern englishのカバー、よかったなあー。んでもってアンコール、「ヤマちゃんおめでとう」と登場したナガタさんがボーカル&ギターで、ヤマジさんが久々にドラム*1!!!、ナカニシさんはベース!!!!!(そしてコテさんはタンバリン)でメリチェンの「sidewalking」!ダル〜〜な感じでね、カッコヨカッタ。ナガタさんの”こういう”ワルさはヤマジさんには無い部分だなと改めて思う。


そして本来のパートに戻り、グラインダーマンのカバーが超カッコよくて、うおおおおおっとスイッチが入った。そしたらドアーズの「break on through」になって、これまたかっこ良かった!すんごく燃えたーー。ギターも声も吠えまくっていた。本編でちょっと物足りずな部分が詰まってた。もしかしたらこの3日間に至る緊張が解け、完全に振り切ったのかもしれない。
これにて終演、客電点いても鳴り止まないアンコール!そしたら再び登場してくれた!「なにか聴きたいのある?」と問われ、こういうとき何も言えなくなるんだよねぇ……がしかし!「sludge!」と言ってくれた方がいて(ありがとうーーー)、「それ!」って感じでニヤッとしたヤマジさんがあのフレーズをかき鳴らす・・・!キャーーーー!


ファンの誰もが「ヤマジカズヒデ(50歳)」を想像をしたことがなかったと思う。ヤマジさんのギターの音色が回顧ではなく、現在進行形であり続けるのは、ギターを弾くことが何よりも大好きだからなんだろうな。かつて「孤高の天才」と冠がついたわけですが、「孤高の」と当時称せられたのは実のところ”人を寄せ付けない”からだろうけれど、そんな面影は今はもうないし、元々は天才肌というよりも、努力家で研究熱心だからこそ、あれだけのものを作り続けたのだと思うのです。

公式にアップされたこの文章、朝通勤時に読んでマジで泣けたよよよ・・・
http://dip.under.jp/dip_official/archives/2016/04/info-yamaji-50th.html

これからも続いていくヤマジさんの活動を、その音色を、唄声を、ずっとずっと楽しみしています。

*1:追記:ヤマジさんがドラム叩くとボビーっぽくて(sidewalkingのときには既に脱退してたけど)素敵