「PARKS パークス」

4月の終わりのこと。午後休して電車乗ってカレーを食べてから散歩。晴れ渡る空、休みにして正解の日。気温は上昇、暑い、眩しい。


夜はテアトル新宿へ。久々の映画鑑賞は、瀬田なつき監督最新作「PARKS パークス」。瀬田監督の作品は大好きで、特に「あとのまつり」は大切な1本(超入魂のアツい感想 → http://d.hatena.ne.jp/mikk/20100123/p1)だし、「5windows」は場所を変えて上映されるたびに見ています。瀬田監督作は「創作物である映画に合わせて街を撮るのではなく、映画と現実にあいだにクッキリ境界線を引かずに、街が人と一緒に呼吸をしてい」るから、今回の「吉祥寺井の頭公園」を舞台にした企画はぴったりだ!と、とても期待して楽しみにしていました。

初っ端の、モノローグが刻むリズムと画が奏でるメロディ、それだけでもう涙ぐんでしまった。あーあーあーこれ!これが瀬田監督だよぅ。散りばめられた過去作の破片に胸いっぱい。時間の交差、ふっと入る風、きらめく光、そして、静けさ。あああ!魔法仕掛けに3度位泣いた。泣いてしまった。ふっとここではない何処かへ浮遊するあの感覚、鼻の奥がつんとするあの感覚。瀬田なつき監督作品ならではのそうゆうところが、好き。

そして永野芽郁さんが素晴らしい。既に出演作も多く活躍されている女優さんだけど、この瑞々しい愛くるしさは撮影時の刹那の輝きであり、その僅かなひとときをすくい取ったのは瀬田監督ならでは。橋本愛さんはこれまでにないラフな役柄、染谷将太さんは「熱海の捜査官」のときのようなコミカルな演技。そして石橋静河さんの新人らしからぬ貫禄と唄の巧さはご両親譲りなのか、惹きつけられました。

「不在の存在」というテーマはいかにも瀬田作品であるし、映し出される吉祥寺の街に「バウスシアター」が確かに「在る」ことに涙する。シャッターの閉まった商店街にレイト見た帰りの自分を重ねてしまう。エンディングの落とし方含め全体的に「彼方からの手紙」「あとのまつり」を思い起こし、テアトル新宿のスクリーンに映る吉祥寺の街並みを見ながら、「5windows」の散歩した黄金町やバウスがあった吉祥寺、「みーまー」の千葉NTに「あとのまつり」の豊洲や横浜の風景や時間が私の中で交差したのもグッと来たなあ……。

んだけど、そういう思い入れと記憶を取っ払って見たときにどうだろうか、と思ってしまったりもする。脚本の入れ子構造?な展開は瀬田監督らしいけれど、諸々にどうにも過剰と脆さと甘さがあって、それを「映画なんだからいいじゃん」と打ち消せるほどの「マジック」が生まれなかったと思わざるを得ないのです。なにより音楽の力が弱く散漫。映像と同じリズムで呼吸をしていないような、モヤモヤさが残ってしまうのです。単純に音楽の匙が私の好みと合わないのかもしれない。「5windows」のようにハミングしながら散歩して帰る気にはなれなかったし、もう一度見たいという気持ちになれなかったのだなあ・・・

それでもやっぱり瀬田なつき監督の作品はこれからも楽しみで、変わりゆく東京の街でどんな映画を作ってくれるのかワクワクしています。