カレーとスプーンと、唄とギターと。

世田谷の巣巣さんで、エミさんのカレー食べて、古里さんがソロで唄うなんて!私のためのディナーショーのようなライブだった。
午前中はけっこうな本降りの雨で、なかなか起き上がれなくてダラダラしてたら午後になって一気に晴れて!ノロノロと散歩に出かけて日が暮れて。どの駅からも遠く離れた、ぽつんと佇む小さな店に辿り着いた。
まずはカレーから。珍しく北インドなチキンカレーは濃厚な味わいにスパイスが効いて爽やか、ターメリックライスに副菜の彩りも美しく、おいしかったー。このカレーを木工作家 miyazono spoonさん制作のスプーンでいただいた。木のスプーンは舌触りが苦手なのだけど、このスプーンは口当たりがなめらかでスッとカレーが入ってきた。


そして古里さん登場。ソロではお馴染みの、床に座るスタイル。アウェイな場で*1 *2かなりな低姿勢発言を繰り返して笑いを誘い、1曲目は『アラビア』。触ったら壊れそうなほど大切に繊細に唄い、ギターがエモーショナルに響き、その震えが胸に来て落涙しそうなのを堪えた。それくらいに素晴らしい唄だったのに古里さんは「スミマセン、このあとは頑張るんで」と控えめな発言。


「カレー屋をやっていて、今移転準備中で凄く大変で、今日もどうしてこのタイミングでライブなんてするの?と言われながら来たんですけど*3」「音楽で食べていこうって思ったことは無くて」「今バンドもやってて、そこではいちばん下っ端なんですけど、メンバーはレジェンドばっかなんで」「今日はノープランでやってるんですけど、、、なにかリクエストありますか?といっても誰も知らないですよね」と自虐発言をするので「イエロームーン!まちのあかり!」と声を上げたかったけど無理だった・・・。うう。そしたら、新曲!(”何も変わらない”だったかな?前回のウミネコライブでも披露した曲)


「昔、荻窪にみんなで集まってワイワイ話したりしてた家があって。それが無くなることになって最後に集まったときのことを唄にした曲です」とのMCで唄ったのは『どうでもいい話』。この曲のどこか寂寥感のある後味は、そういう意味が込められていたんだな。

小淵沢に、歯医者さんの先生が所有してるスタジオがあって。音楽好きで面白い話をたくさんしてくれる先生で、”いつかアルバムつくりたいんだよ。そのタイトルはもう決まってるんだ”って言ってた話をパクった曲です。出来たときに聞かせたら”パクりやがった”と言われました」と笑わせてからの、『楽しい約束』。この曲の”楽しい楽しい約束だから”っていうところ、古里さんの唄声はもういない人へ向けた切なさが感じられて、きゅっとなる。


「自分は前座なんで、後は下岡くんに。ハードル上げとくんで」と『まちのあかり』を最後に。ああ、名曲だなあ。世田谷の片隅で、バスが走る道路の傍らで、小さな灯火。最後は遠くでヤマジギターが聴こえてきたのだった。


古里さんのソロで聴くuminecosoundsは(元々は古里さんソロではあるけど)、唄の素の分をすくって、掌で大事に温めるような、真摯な古里さんのひととなりそのものが滲み出ていた。バンドで聴くときは「あー、幸せなバンド・サウンドだなー」って、4人で旅をしてるような音だなあって思うんだけど、ひとりだと唄そのものなのだなあ。
もうひとりの出演者 下岡さんは「俺が考えていること」を伝えたい唄い手だと感じたけども、古里さんは情景を伝える人だと思えた。そこにいた記憶が呼び起こされて、気持ちがメロディになり、景色が歌詞で綴られ、唄として語られる。そしてギターで感情が増幅していくのだ。(それにしても古里さんの、終始気を使いっぷりには尊敬の念・・・)

あたたかでささやかなひとときをありがとうございました。帰りの歩き道の心地よさったら。

*1:確かに、私と、惑星のマリさん以外は・・・

*2:惑星で食べたときにuminecosoundsかかってて超嬉しかったなー

*3:カレー、コラボしてほしいと密かに思ってたけどそんな余裕は無い様子だったわね・・・