1月23日火曜日。昨年のCAMERA来日公演のときに対バンだったMirrorMovesが、1stレコ発ライブにdipを呼んでくれたことだけでも嬉しいのに、更にはMaher Shalal Hash Bazまで!まさかの!対バン!こんな組み合わせ、本当に感謝だなあ。
前日の大雪でまだ非日常感の残る東京だけど、渋谷は通常営業だった。
■ Maher Shalal Hash Baz
ステージところせましぎっしりと、12人くらいだったろうか。見た目明らかに素朴な人たちが、訥々よれよれふらふらと、挙動不審で彷徨うようにバラバラ紡がれる音。見守るように聴いていると不意に胸に迫り、昂揚して、泣きそうになってしまった。あまりに未完成故に不協和音を生み出す、決して完成されない音楽を繰り返し続ける。なんてノイズでパンクなんだろう!
この日の演奏を聴きながら、あーへろへろでドタバタでジャングリーなギターポップだなあ!(それこそパステルズ!)とか、あーこのどよんどよんと回ってく感じはヴェルヴェッツだなー!とか、パワーポップで酔いどれなこの感じはオンリー・ワンズだなー!とか、そういう発見も楽しくて、でもそういう思いを軽く凌駕する、理知的に狂った世界。日常的に摂取しちゃダメな音と言ってしまおう。素敵だったなあ!
■ dip
SEで異なるフェーズに行こうとしているのだなと思えた。マヘルが作った世界を一掃する力強い音(一番最初の出音は明らかに出過ぎだったケド)、痺れたのは新曲の「hollowgallow」で、前回聴いたときよりも格段に完成されていてブワアッと昂ぶった!
こういう曲と同時に「the place to go」のような曲の切ない歌メロが存在するところが、dipの強さ。この曲のサビが2日後にふっと脳内再生されて、その日何回もリピートしてた。Owlを初めて聴いたときもそうだったなあ、と思い出して気づいたけどおんなじハコだった。
「break on through」はこのところの定番とはいえ、ここ何回かそこまでグッと来なかったのだけど、今日の演奏はヤマジさんの太い刀がズドッと落ちて、3人のバランスがすごく良くて、カッコヨカッタなあ!
更に今日のトピックスはなんと!flagの「不安症」をやった!の!生で初めて聴いた。イントロであれ?ってなったとき震えた……。flagの曲はベース/ドラム/ギター、それぞれの蠢きと絡み合いがやっぱり面白い。dipとは違うアンサンブルで、いい意味での軽みと重みと隙間があって。dipでやると太くどっしりとしていて、新たなカッコよさが生まれてる。すごくよかった。セットリストでは「Fanshaw」って記したヤマジさんの、言葉のセンスはサスガだなあ。また聴きたいです。
それとトピックス的なことで云えば、最初のほうのMCでヤマジさんが「MirrorMoves、アルバムリリースおめでとう、よかったね」と言ったこと!こういうこと言うの、珍しいーー!(ってスミマセン)ヤマジさんがベルリンに行った時に知ってファンになったCAMERAの来日公演が決定したときに、dipの出演を自分から要請したというホントに珍しい行動から始まる、不思議な縁。
そして、マヘルのことも「良かった」と暫し言及して、ナガタさんがコクコクコクと頷くというのも嬉しかったなあ。MCで具体的なバンド名出す時にナガタさんが話にちょっと加わるの、いつも嬉しい。
会場は天井が高く照明が映えて、3人それぞれが演奏する姿をしっかり目で捉えながら、音を全身で充分に体感出来たー。しばらくライブ無いらしいけど・・・折角ますます研ぎ澄まされてるのにもったいない。今のdipはどんな方向性のバンドにも合うと思うので!どなたか出演依頼してほしいなあああああああ。
■ MirrorMoves
前回はステージなんてまるで見えなかったので、彼らの姿を見たのは初めてだった。若いのねえ(オバサン視点)。ボーカルの人はニューロマぽくて、ギターの人はNWぽくて、ベースの人はグランジぽい、(ドラムの人は未確認でスミマセン)なんて、見た目のそれぞれが興味深かった。にしても、ボーカルがこういう歌詞を歌うのがメインの邦楽バンドな感じだったっけ?というのが驚きだった。前回のライブ(そのときに買ったアルバムも)ではクラウトロックな音とカオスな渦の印象があったので。というのはあるけど、大先輩2組の後に堂々とクールに演奏し、自らの空間に染め替えていた。これからもいろんな場にどんどん出て活動が広がるだろうな。
3者3様の音を聴くことが出来て、いいライブだった!