“Another Labo2” - guitar session

ヤマソロ。Takeshi Nishimotoさんとのセッションとともに。
会場を知ったときにほんとに驚いてとても嬉しかった。オープン時「磯崎新 設計のホワイトハウス」を引き継いだカフェと知って訪問、以来時折お邪魔する大好きな場所だから。ここで大好きなヤマソロを聴くことが出来るなんて!
https://jp.toto.com/tsushin/2016_spring/modernhouse.htm
吹き抜けで天井が高く、音がとても良かった。


中に入るとオスカー・フィッシンガーの映像が流れていて、震えてしまった。大好きなフィッシンガーの映像(うちにも同じDVDがある)に、まさか!今!ヤマジさんのギターが!同期するなんて!泣く!フィッシンガーの映像の軌跡にヤマジさんのギターの軌跡が重なってく。映像を見ながら弾いてないのに見事なまでに重なり、お互いに描きあうようだった。
「この坂道の途中で」ヤマジさんらしい切なくも広がりのあるメロデイ。UAはその後、確かSWITCHでのインタビューで『デビュー時に付いたイメージを壊したくていろいろなことをやったけれど、この曲を唄って自分に求められているものを受け止めることができて楽になった』と(大意)語っていたのが今も印象に残っている。坂道の途中で生き返るような、やさしくしなやかな強さを持つ曲。久々に聴いた今日はフィッシンガーの映像がちょうど赤く染められていくところだったので、ラストの血の雨を思い出したなあ。「空中庭園」の頃が懐かしい。そういえばもうすぐ豊田監督の新作公開だ。
それから「Little Johnny Jewel」でのギターの細かな震えと上がっていく様が凄まじかった。今目の前でひとりで作り上げている音だなんて信じられない。そこには長年のギターワークの蓄積があるからこそ、時を超えて鳴り響いているのだろう。
その後のタケシさんとのセッション、夢のようなひとときだった。二人の出会いは、ヤマジさんがベルリンに行く時に”ベルリン在住 日本人 ギタリスト”で検索して見つけたnishimotoさんの楽曲を気に入ってツイートしたことがキッカケって、ほんと素敵だなあ。日本のロック沼にいただけでは繋がらなかった二人の音色は、共通の波動数値を持って響き合う。
後半の映像は「ベルリン天使の詩」! 大好きなこの映画とともに聴くヤマジギター。嬉しい。ヴェンダースの映像はワンショットごと本当に美しい。モノクロームの重い空気に「amphatemine」「underwatar」、これまでの印象とは異なってた。掠れた不安定さとか暗い海底をうねうね進むところが無いからかもしれない。「heroine」そして「coney island baby」。吸い込まれた。
それにしてもヤマジさんのギターワークは、言葉は無いのに語りかけてくるものがある。想いだったり景色だったり、受け手側によって描かれるものは異なるかもしれない。それでも良いのだと、多様性を受け入れる大きな器を今日は感じた。もうこの何年も様々な場で弾くことにより得た豊かな強さなのではないだろうか。そしてたくさんのカバー曲を披露するけれど、耳と指先に擦り込まれた原曲への想いを込めながら自身の楽曲として一歩先へ進み、それでいて原曲の良さに改めて気付かされる。

8月の終わり、夏の終わり。素敵な夜だった。