OGRE YOU ASSHOLE 豪雨の日比谷野外大音楽堂

9月17日、3連休最後の日。去年のリキッドワンマンに停滞を感じてしまいしばらくライブは見てなかったけど、「日比谷野音」且つ「複数のスピーカーを用いた”クアドラフォニック・サウンドシステム”を導入」という御触書に、やっぱり行こうか…と我が家2名で重い腰を上げたのだった。
天気予報では「雨」なのが、朝からよく晴れてホッとして、Y氏は「オレ晴男」と得意げ。いちおうレインジャケットをカバンに入れ、防水スプレーをかけまくった撥水パンツを履いた。なんだか遠足気分だった。時間があったので日比谷公園のベンチでボーーっとしてたら、向こうの空がなんだか…灰色に…なって……(まさか……)


チケットを買うのが遅かったので中に入るまでの時間がエライ長く、周囲の人々を眺めてた。まだ明るい夕方に集う人々は30代メイン、一般的なライブ会場と比較すると男女ペアが多く思えた。持参OK なため、缶ビールが詰まったコンビニ袋を下げた人も多かった。漸く場内に入り、後ろ寄りではあるけどPA近くの席が取れてよかった。スピーカーは想像よりも少なく、客席の両脇真ん中あたりにあるのが後方位置だったようで、それよりはちょい後ろめになってしまった。それにしてもなんとなく雨の予感が強まってきたことばかりを考えてしまう。


空は徐々に暗くなり、メンバーがステージに出てきた瞬間になんと、ポツンと雨が降り出した!え?!
そしてシンセノイズがぎゅいいいいいんと鳴り、ぐるりぐるりと回転しだした。確かに立体音像ではある。が、雨脚が急速に強まり、音の輪郭が不鮮明になってきた。これはヤバイとレインジャケットを着込み、ライブスタート。特別仕様のサウンドシステムは全編で使用されるのではなさそうで、初期曲もありのセットリストはその音響が映える曲ばかりではなさそうだし、幾分モヤモヤしながらも、豪雨に掻き消されて記憶に自信が無い・・・。それほどに雨は一気に激しさを増し、頭に肩に叩きつけるように降る雨はまさに滝と化したのだった。これは修行か……。ブルブルブル・・・・。ジャケットは大丈夫だけど撥水パンツはその効果を超えた雨に耐えきれなかった。

いったいどうすればいいんだ状態で中盤まで過ごしたものの、や、もう、この状況を楽しもう!とエエイ!といきなりはちきれて、滝を浴びながらはしゃいだ。高層ビルが並ぶビジネス街の麓、強烈な土砂降りの中のライブにワイワイしてる光景たるや!

こんなテンションで2時間過ぎ、出戸くんが「あと1曲です」と言ったとたん驚くべきことに、あれほど激しかった雨がサッーと弱まり、アンコールで再登場したときには止んでしまったのだ!ええええええええええ。最後の最後、新曲の穏やかさのなかで吹く雨上がりの風がとても気持ちよかった。
そう、ライブ本編の2時間余りの間だけの、局地的なゲリラ豪雨だったのだ。ナントモ奇跡としか言いようがないし、冒頭のぐるぐる回るインストのあれが、「吹けよ風、呼べよ嵐」的な呪文で豪雨を呼んだ気がしなくもない・・・。それとも全ては最後の新曲への演出だったのか。
晴男を自認するY氏はびしょ濡れのかわいそうなオジサンになってるし、この歳になってこんな姿でライブ見てるなんてねーと大笑いして、気恥ずかしくも地下鉄に乗った。野音でライブ見たのは1993年、小沢健二デビューの以来だなーと思い出し、やっぱり伝説を生む場なんだなー。とはいえ。サウンドシステムや天候が「伝説」を作り出したとしても、このところの音作りはどうも弱いなと思わざるを得ないのがやはりな実感なのでありました。その淡々とした様が彼らの味なのかもしれないけれど。