Cornelius Mellow Waves Tour 2018

10月8日祝日、東京国際フォーラム ホールAにて。16時半開場、まだ明るい有楽町。集う人々の服装を見るのは楽しい。キラキラしたエントランス、階段を上がる、広い客席。普段地下の小さなライブハウスばかりだから、こういうホールはライブというよりも劇を見るような気持ちになる。
座席の背もたれにはタイポグラフィなポスターが掛けてあり、裏面には物販の紹介=販促が。そのコピーが相変わらずな飄々と笑わせるヤツで面白可笑しいし、座席番号がちゃんと見えるように穴もきちんと開いてるし、全席にこれ掛ける手間て!とか、こういうお金の使い方さすがオヤマダさんやで……。物販すんごい並んでたけど、今の時代もっとスムーズなやり方あると良いですな。カセットブックを購入しましたが、先日の世田谷文学館での信藤さんとの対談で、小山田くんは「松任谷由実」作品のカセットブックをめちゃくちゃカッコいいと言及してたのを思い出したんだけど、あれがキッカケなのかな……


「Audio Architecture」21_21 DESIGN SIGHTでひたすら聴いたこの曲、ライブでは初めて!「無音」を聴いた。贅沢で豊かな、無音だった。こんな洗練された世界観で当然進むと思いきや、変な音と映像が急に流れて、戸惑う。パッパッパッと地方CMやら何やらメチャクチャな映像が!え!こ・れ・は!「Another viewpoint」!! 絶対ソフト化出来ないネタの数々に唖然と大笑いした。ソフィスティケートなアートなどと形容されることが多くなった昨今、もうやらないと思ってたバカバカしいお遊びを序盤にしれっと入れちゃうなんて!信藤さんの「(展示でカッコいい小山田くんの写真の奥にこっそりと小枝ちゃん写真並べたのは)コーネリアスならオマケにちょっと面白いデザイン、なんちゃってを入れたくなる」って発言に近しい感覚だろうか。


Mellow Wavesのライブを見るのは今日で3回目。客はみんな座ったまま静かにじっくり聴くのは東京らしいおとなしさかもしれない。音響も良く、これまでで一番落ち着いていた。初回リキッドは固唾をのんで見守った感あったし、映像とのズレは否めない箇所もあったけど、今回は演奏の完成度が高かった。4人の温度が同じで、「あなたがいるなら」「The Spell Of A Vanishing Loveliness」のウェットで叙情的な部分さえも排除したように感じられた。そうなると映像の物語的具象的な情報量が益々強すぎて、感覚が視覚に持っていかれそうで、目をつぶって聴いたりもした。小山田くんいわく、新作での映像は作家にお任せのようだけど、ハマっているように思えないのだなー・・・


コーネリアスのアルバムリリースに合わせたツアーとして、10年ぶりとのMCに驚愕。10年ほどの間、YMOやらオノ・ヨーコやら攻殻機動隊やらEテレやら、とにかく様々な活躍を続けてきたから久しぶりな感じはしないけど、10年間の他活動が確実に反映されたライブ。そんななかに「カオスなあの頃」を思い起こさせ、最後のMCでは「来年50歳、コーネリアスとして25年、フリッパーズとして30年」と発言、ファン号泣……。そんなサービス精神も含めて、全方位に配慮されてて参りました。
本人は最近「加齢」と都度都度笑いを取っていたけれど、こういう歳の重ね方があるんだと先頭に立ってくれるよな、さすがトレンドセッター、オシャレ番長な風格がある。籠もることなく常に制作しつづけ、稀有なミュージシャンだと、改めて実感する。公私共にいろんなことあった40代、細野さんの影響がとても大きかったのではないだろうか。50代へ入るオヤーダさんの活動が更に楽しみになりました。感慨深いなあなんて思ったけど、フリッパーズの頃から芯はブレず、やることは一貫してるのだよね。


帰り道、涼しく気持ち良い風が吹くガランと暗いビジネス街を暫し歩いた。目と耳が活性化されてクリアになった!