師走の終わり一歩前

金曜夜は新宿シネマカリテでThe Slitsドキュメンタリー映画「ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード」を見た。スリッツには強くは惹かれないまま今に至るのだけど、キッパリ声を上げる姐さん的カッコ良さとダブな音が自分にはしっくり来なかったんだろうなあ。あらためて聴くとカッコイイー!今更だけど。映画館の音響でガツンと響く音に痺れた。字幕で発言や歌詞を目にすると、胸に刺さるその鋭さよ。こんなことを伝えてくれてたんだってこと、若い頃はピンと来てなかった。当時の生々しいパンクな衝動と情熱がシンプルに切り取られていて過度な演出が無いのは、本作がアリ・アップの遺言に依り制作された意志ゆえかな。


土曜はよく行くお店で食べたランチで夜まで胃もたれ・・・。


日曜の昼ご飯に行った馴染みの店に、夜に見るライブのチラシが置いてあり驚く。忙しそうだから言えなかったけれど。そのあとは昨日に引き続き小雨模様のなか歩く。下北へ行くと新駅舎感が出ていて、北口市場跡でたった一軒残っていた店も解体されていた。線路跡は埋められつつあった。深煎珈琲を飲んでから、17時半開演のBASEMENTBARへ。一番手のヤマソロは「寝起きで……」とのMCはマジだろうなと思わせる(最近はメッキリそういうの無くなったよネー)、暖房の効いたヌクヌクな部屋で微睡んでるライブだった。蓄熱で賄った感ある、いわばスイッチが切り替わる前状態な演奏で、こちらの目が覚めるよな稲妻走る感覚にはならず……むむむ。そんな贅沢な気持ちが今年のヤマ納め。永遠のギターキッズであり、とにかくギターを弾くことが好きで飽きることなくて、自分にとって新たなことを試したい人なのだろうな、と腑に落ちる。ルーパー研究から脱した、異なるフェーズに来年はなるといいな。
sugar plantは今年18年ぶりの新譜ということがもはや信じられない安定感、バンド感。以前はこんなに和やかだったかしら。オガワさんのギターは流麗で神々しい月の光を放ち、チナツさんの唄声とベースは温かでやわらかい陽の光を放つ。キーボードがその光を増幅し、ドラムのリズムに背筋が伸びる。旧譜からの曲も今の音で奏でられ、場内はきもちよく揺らいでいた。



月曜昼は新宿にて牧村さんのトークへ。雑誌「doll」の元 編集長 黒田さんをお相手に、お題はアフターパンク。コステロあたりからスクリッティ・ポリッティpere ubuなどを聴きながら(会場の良いスピーカーで聴くと、ガツンとした音が耳の中の印象と違って再発見!)当事者から濃ゆい話が出てくるのです。当時制作されていた「ラフ・トレード新聞」などの紙資料もたくさん回覧され、カッコイイ音楽から受けた衝撃をみんなに伝えたいという熱意を時を超えて感じました。徳間ジャパン在籍当時にラフトレードとライセンス契約を交わした三浦光紀さんも飛び入りトークした後、日本ではということでペニー・アーケードが紹介され、ロリポップソニックへ!1stカセットのマスターテープをデジタル処理し、本来の音で聴いた「ハロー」には震えました…。生々しくてガリガリしてて、すんごくカッコイイ。牧村さんを始め、オンタイムで聴いた人たちが衝撃を受けたのがとても良くわかる。今回の話の流れの最後に最適な、まさにアフターパンクな精神を抱えた音。


火、水、そして今日と、精神的に重い仕事が続き、結局年明けのことをずっと考えてしまうのが辛いなあ・・・。自主的に考えてくれる人ばかりなら、楽なのにね。