ヤマジカズヒデ / 小林祐介 “Attractive Alternative”

3月4日(月)朝からずっと雨の日、下北沢440にて着席のライブ。ああ、この唄声とギターの音色が好きだなあとあらためて強く思った夜だった。これからも、いつまでもずっと、更新続ける今を聴かせ続けてほしいと願う。


その2日前、ヤマジさんが戸川純さんの岡山ライブにギターで急遽参加した話を知って驚愕しながらも「il faut continuer.」が頭に浮かんだ。これまでの想いと明日への意志。とはいえ簡単ではないことであっても、今のヤマジさんには可能にするやわらかな強さがある。それを小林祐介くんの言葉が裏付ける。
「日本で一番影響を受けたギタリストがヤマジさんで。『昔好きだったけど』って過去形になっちゃうヒーローもいるけれど、ヤマジさんはいつも今が一番かっこよくて。」
思わずうなづいてしまう。小林くんは、想いを誠実に、臆すること無く的確に言葉にできる人だ。小林くんの唄声、久々に聴いたけれども以前よりも「地についた強さ」を感じた。変な喩えだけど、"human flow" のカバーがこれまで ”human<flow" だとしたら ”human>flow" だった。


ヤマジさんのギターがいつもよりも優しい歪みに聴こえたのは、こちらにバイアスがかかってるせいだろうか。
1曲目は”all tomorrow's parties” 穏やかで時に思い出すかのような色合いを残すけれど、バランスがちょっと気になったところ、続く ”I shall be released”の曲が持つ力とギターの音色に、歌詞がハマり過ぎて、滲みて、泣きそうになった。
「祐介に”ヤマジさんも緊張するんですか”って聞かれたんだけど……1曲目がうまく行かないとそのままずっと引きづってしまうんだけど、今日は2曲目で持ち直してよかった」
「さっき祐介が"Blackbird"をやって、好きな曲だからステージに乱入しようと思ったけど、モモじゃないからね……(やめた)」

"little johnny jewel"、イントロのギターでキタ!ってなる。後半のギターソロの美しさったら。キリキリササくれだっているのに研ぎ澄まされてる。
”alabama song”の後、北村さんの”lost wings”にはパッヘルベルのカノン/蛹化の女が挟み込まれたのだった。一音一音をいつも以上に丁寧に向き合い頷きながら、愛おしむかのような音だった。
「ループが何重にも掛かっていく様子をお楽しみ下さい」と告げると魔法が次々と掛かり、”wating for the man”。ヤマジさんは遂に立ち上がり(「クララが立った!」)、アンプのツマミをぐいっと上げて、暴力的な爆音でギターを掻き鳴らす後ろ姿にグッときた。絡み合う想いに芯がスッと刺したかのような背中が目に焼き付き、boy's don't cryのジャケを思い出したりもした。


2人でセッション。小林くんが唄中心。
コバ「440での2マンで、ヤマジさんとやりたいとずっと言い続けていた。ヤマジさんの唄が目の前で聴けるから嬉しいと思ってたのに、コレとコレ以外唄ってって言われて」
ヤマ「誰かが唄ってる後ろでギター弾いてるのが一番楽しい」


ヤマ「”ぼくたち”はいつ出会ったんだっけ」
コバ「UKPにヤマジさん来てるって教えてもらって、駆け込んでサインもらったんです」「ん、みたいな返事だけされてやっぱりヤマジさんコワイなと思ったら、よかったねちゃんと挨拶してもらえてって言われて、ええ?って」「そのあとも、リハ来てくれたとかそういうことだけですごく嬉しくて」
ヤマ「低いところの評価から始まってるからね・・・」
コバ「ちゃんとやりとりするようになったのは、フフォレのあとだったかと」
ヤマ「対談もやったよね。あのとき歯が痛くてマスクしてたんだよね……」「そういえばこの間印税が入ってて、何故?!と思ったら」
コバ「(さっきも演奏した)human flowがベスト盤に入ったんです。自分の曲じゃないのにベスト盤に入れるという……」


1曲目はパラダイスガラージの”移動遊園地”、小林くんが唄うとなんて爽やかな風が吹くのか!最初この曲のカバーだとわからなかったくらいに。それから ”to here never come”!うれしい。柔らかく優しく丁寧な響き。スタンダードソング的王道を感じさせた。
3曲目はヤマソロCDR収録のみの歌モノ ”知らない音”。
ヤマ「(小林くんのリクエスト曲なので)CDRにしか入ってないこんな曲まで聴いてくれて……」
とてもよかった〜〜。不思議なサイケデリック。今後もライブで演奏しそうなので期待シマス。
4曲目はニール・ヤングの”birds”はヤマコバだと、切なさが倍増。
5曲目は小林くんも大ファンだというart-schoolkanon ” 93年頃の空気が脳内に浮かんでいたら”waiting for the light”が挟み込まれてハッとする。小林くんもハッと、ヤマジさんをチラ見した。melt « THE NOVEMBERS (小林くんが以前書いた文章を見つけたのでお知らせ・・・)
ヤマ「オレが”ヤマ”で、アートスクールの”木下”で、”小林”ときて、あ、ポリシックスの”ハヤシ”でもいいのか。だからこの次に”森”って人がいると……」
コバ「(・・・森って知り合い、いないな・・・)」
ともあれ、そうやって「継承」されていくこと。その想いを改めて感じたライブだった。ステージを去る時にハンドサインはなかった。
*敢えてMC部分を多めに書き留めましたが、記憶媒体は脳味噌ゆえ誤っていたらごめんなさい。そしていつも以上に妄想多めでごめんなさい*