LABO8 one-man at high

1年ぶりのワンマン。
時折グワーッとしたものが降りてくる、その繰り返し。むかーしあった瞬間を思い出したりしながら、今だけがあった。時々ズコッとしつつもね。ギリギリまで仕事で、頭が切り替わらないままだったのが口惜しい。そのせいか、ヤマジさんも風邪気味のようだからか、演奏と選曲が織りなす深さと起伏と濃さは昨年末のワンマンよりも弱かった。3人だけで新旧楽曲織り交ぜ2時間半の長尺ゆえ、2部構成もむべなるかなだけど余韻が薄まった感はある。冒頭はちと硬い気もした。

けれど。

ヤマジさんが目を伏せて慈しむように丹念にギターを弾く姿やメンバーを見る姿、ナカニシさんの低い位置でタイトに照準を合わせるリズムの間合い、ナガタさんの寡黙ななかで口ずさむようなベースラインとコーラスする姿にぐっときた。90年代〜ゼロ年代テン年代と活動を続けてきての、今の音の表現が嬉しかった。このところ毎回言ってるけど。男性客の掛け声は昔のようなグダグタさ発露ではないところとか。


少しずつ変わりながら、円を描くように元の場所に戻っていく。螺旋の軌道が大きくなりながら。でもその軌道の真中にいるのではなく、離れた場所から眺めたりど真ん中にいったり。そんな幅がある。weekenderから20年過ぎても走り続けてるし、カラカラではないんだよ。先日話題になったナカニシさんの家具職人の件、ちょうどあの頃始めたのかと思うと感慨深い。戻ってきてどちらも続けてくれて職人であり続けてくれてありがとう。いつか本レコCD棚をオーダーしたい……。



「不規則な断片の反復の地下鉄」!いいいいつぶり??びっくりした!頭の中の音源のウネウネさはなくソリッドで、サビのメロディがいいなあとしみじみ。すごいポップなのにダーク。
そしたら「bend your head」・・・!ぎゃー!場内の空気が一瞬止まった。今やると、果ての疲弊のカラカラさが無いんだよ。後半のギターなんて神々しい。涙が滲みそうになりつつも、見える光景が違っていた。
そしてそして「waiting for the light」!!! ああ、なんて瑞々しいのだろう。キラキラしてる。こんな音を鳴らしながら『君の好きなすべてのものと世界は回ればいい』『深く沈む夢の中 2人だけで眠り続けたい』って唄う50代。あの頃の刹那な浮遊感は消えて、今を生きる音でキラキラしてるって凄いよね。
そのキラキラからの新曲「for never end」は前もやったド・シューゲでポップな曲。クラウト・ロックのミニマルさから帰ってきた? 最近のヤマジさんの興味の表れなのかな。シューシュー言ってるdip知らない人に聴かせたい。
それから13階段への荒野」イントロだけで場内がウッと息を呑み、ギュッと身を固くして聴き入ってるのがよくわかる。途中のギターソロのキリキリした鋼の音色が全身に一瞬で巻き付いて、痛くてたまらなかった。


休憩挟んで、ミヒャエル・ローターに聴かせたい「krauteater」「duel」と新曲モードかと思いきや、「garden」! ベースの音が出てなくてもう1度。更に「delay」!ファンサービスもりもりな選曲。昔の曲やると今の自分との対比が出来て面白い。「hollowgallow」の後は「see emily play」・・・・・わああああああ!この!カバー!久々すぎるーーーー。嬉しいいいい。あの頃のQUEを思い出して、悶えた。けどヤマジさん間違えて2度め。ふふ、こういうやり直ししちゃうのって、往年のdip感あって笑ってしまう。
そんで「lust for life」は一転、鬼気迫る演奏で凄まじかった。この一年の出来事を飲み込んでしまうような。アルバム録音をリアルで再現な音作りに痺れた。鉄板「break on through」で〆。


やっぱりのアンコールはみんな大好き「sludge」、あのイントロはテンション上がる。ベースがflag ver.寄りの気がちょっとした。「t.v.eye」もフェスやアンコール向きだねえ。
2曲で引っ込んだけども鳴り止まないアンコール!アンコール!
再び登場、ヤマジさんは「shady lane」を爪弾きだしたので、わあああ!今日は渋谷でマルクマスさんのライブだから、やってくれないかなーと密かに思っていたのです。しかしこのまま本演奏にはならず「superlovers in the sun」、この曲聴くと「ドライブイン蒲生」思い出すな。


「やさしい曲を」と言って「no man break」木下理樹さんの”この曲を聴いて「引きこもっててもいいんだと思った」”ってのは名言なんだけど、そういう気持ちを呼び起こす音色ではなかった。やさしかった。ナガタさんのベースラインに嬉しくなって、コーラスするナガタさんと唄うヤマジさんって並びを見ていると、なんだかぐっときた。いいバンドだな、ねえ。


ここでおしまい・・・と思いきや、アツいアンコールの歓声に予定外で1曲、「30分やっちゃうか」と9souls!!!木場フェスを思い出しつつ、最後の最後でヤマジさんが感情爆発させたかのような弾きっぷりで昂ぶった!


MCは客の掛け声に反応した程度のもので、相変わらず淡々と自分の演奏を披露するのみ。でも煽ることなくても、楽曲が持つ豊かさがスイッチとなり、揺さぶられる。昔は良かったねえではなく、今が良い。そしてまた変わらないようで移り変わっていくのだろう。今年は12月終わり間際にもう一回。