with my funny hitchhiker

12月26日(木)club queにて今年最後のdipライブは、近藤智洋さんのバンドとの対バン。近藤さんとはヤマソロで共演が多かったけれど、今回初めて「バンド」の対バンとなった。近藤さんはdip Tシャツを着ていて、こういうところが素敵よね。


ソロで見る近藤さんはボケキャラで柔らかい印象なので(失礼ですみません)、my funny hitchhikerのアツい3ピースロックにビックリした!カッコいい!!dipからサイケデリックを抜いて覇気を足した感じ(重ね重ね失礼ですみません)で、エモい!近藤さんの唄声はこのあいだ感じたとおりのタフな印象で、ドライヴするベース(バウハウスTシャツ着てた!)、熱情高いドラムと三位一体で作り上げる演奏は見ごたえも聴き応えもタップリで、正統派邦楽ロックバンドだった。


さてdip。「今年最後」感がまるでなかった。ヤマジさんは今ここではなく、「この先」で鳴らすギターのことを考えているのではないか。エフェクターづかいを如何に行うかという気持ちが迷いとともに感じられたのは、私の勝手な邪推だろうか。なんかこう、納得した安堵や説得力が全ッ然伝わってこなかったんだよねえ。。。こういうときのナガタさんナカニシさんはただヤマジさんを見守るのみで、それがdipなんだよねと苦笑する。ナカニシさんは左手に包帯が巻かれていて、本来ならばライブする状態じゃないのかもしれない。


あー、これまでも時々こういう時期があったなーと思い返す。いわばヤマジさんが部屋でひとり、研究をしているようだった。正直いって同じ車に乗ってるとも並走してるとも思えなかった。でも知っている。近いうちにヤマジさんが部屋から出てきて、車に乗ってくれるってことを。そのときにはエンジンはチューンナップされ、新しい景色を見せてくれるってことを。

it's late、hasty、to hell with it !、melmo、seed、the brain kept a rollin' 、plantation・・・最近ご無沙汰の楽曲はこれまでとは違う音色を奏でていた。最初どの曲かわからないくらいに。
そしてベラさんへの曲「sigh」は今もまだ痛々しくて切なくて、泣きそうになる。振り払うかのように「fly by wire」そして「break on through」、繰り返され咆哮するのは自身に向けてなのかもしれない。”Break on through to the other side”・・・!ここで本編終了、え、もう終わり?


近藤さんと出てきてカバー2曲は「cold turkey」「do the boogie」でアツい演奏。さっきまでとは打って変わって、息を吹き返したように気持ちよくギュインギュインとギターを弾きまくるヤマジさんに、本編でこういうの見たかったよ!と心のなかで叫んだけど、やっぱりカッコいいねえ・・・
途中でヤマジさんは指先が切れて流血、いつもどおりに弾けなさそうな状態で心配してしまう、、、。最後はdipの3人でやさしいやつをと「no man break」、ナガタさんのコーラスが合わさるとこでグッときて涙ぐむ。なんだかんだいっても、dipなんだよこの3人なんだよ・・・。ライブ後にヤマジさんが ” 打ち上げがiPod DJのBeatUK状態になり、ナガタッチが喜んでくれたり楽しかった ”ってツイートしてて、ヤマジさんとナガタさんは盟友なんだなと改めて実感する。


2019年はヤマジさんにとって大きな出来事があった。どんなことが起こっても、il faut continuer. 続いていかなければならない。この言葉がこれまでとは違う意志を持って響いた。思えば「after loud」から10年経った。リリース当時「クリーンになった」と発言していたけれど、確かにこの10年はリ・スタートで、内輪ではない、外での活動がどんどん増えた。様々な界隈とセッションが多くなって、見えなかったものが見えてきたり繋がったり。だから今は次へのリ・スタートなのかもしれない。


「2019年が、令和元年が、テン年代が、終わる」という表現は数字の区切りであって、ひとりひとりの体内に流れる時間軸とは別物だ。il faut continuer. だからこそ、今何をするか、次へのイメージを奏で、蓄熱していることを感じたライブだった。10年前の近藤さんとの共演を振り返ると、ヤマソロでは本庄さんのドラムが必須だったからそこにまた想うことがある。怪我と病気にはほんとにほんとに気をつけてほしいと心から願うのです。。。


来月もライブあるし!ウミネコも本格活動するし、楽しみだーー!


余談。新たなファンも増えたり、しばらく離れていたひともまたライブに通える環境になったのかなと感じる。これはとても嬉しい。来年はヤプーズで北京公演するようだし、桁違いの数の人々に発見されたらいいなー。それと掲示板ともミクシとも違う、SNSの存在は大きいだろう。SNSで気軽に想いや行動を残し、可視化出来るようになって、「好きの表明方法」の違いが興味深い。スマホでクリアな動画撮って共有したり、ライブ直後に短文で感想アップするのが当たり前になった今、なかなか言葉に出来ないまま長文ダラダラ書いてる私って……と思うところはあるけど、ネット上でオープンに書く行為は同じでも、密かに黙々とココに籠もって書くのが好き、ただそれだけなんだよねえ。SNSは公園にいる感じだけど、ココは家で、落ち着いて記すことで気持ちの昇華になる。見た人と想いを共有したり見ていない人に知ってほしくて書いてないから、自己満足だから、ここでずっと書いていられるのだろうな。リアルでもネット上でも私はコミュニケーション取るの苦手だなーとつくづく思うし、写真撮るとか当人にサインもらうとか話かけるってしないよなそういえばとか、だって緊張してできない! んで、そういう「好き」の差異を知ってみんな違ってみんないいという気持ち大事だなーとつくづく思う。そして惹かれてしまったら、どんなかたちであれ粘着的に熱狂してしまうのがdipのオソロシサよ……