"LABO 9" dip/割礼/痛郎

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このあいだB&B行ったときに貼ってあって、カッコよくてきゃー!っと撮った。当日は無かったの……。


SSEナイトともいえるこの並び。私は当時ライブは見てないけれど、懐古ではなく今を生きる攻撃的で先鋭的な音を3組とも聴かせてくれて、満杯の場内はすんごく盛り上がった!


痛郎はバッキバキでンゴンゴ!って凄まじく、クッキリした音の応酬にのめりこんだ。こんなにハードで高精度の音なのに、MCでの弱々しいボヤキとアオさたっぷりの唄が入ってくる不思議なバランスで、なんともドラマチック。カッコよかったー。
割礼は3マンもワンマンもいつでもどこでも変わらず毎度毎回な安定感。でも、一瞬も安心出来ない音!宍戸ギターの極悪な分厚さには心を動かす説得力があって、どういうわけだかウッと涙ぐんでしまう。今日は殊更にスゴかった。宍戸さんの唯一無二な凄みは山際さん鎌田さん松橋さんの寡黙で豊かな演奏あってこそのもので、一つの広い空間を作り出す様に呆然とする。


さてdip
昨年最後のライブでは、ヤマジさんはステージ上にいるのに1人部屋に閉じこもり、迷いながらエフェクター研究をしている印象で、3ピースのライブとは言い難かった。しかし、今日は、自ら招いた2組の熱演もあってか場内の温度がすこぶる高く、ヤマジさんが部屋から出てきて!(天照大神か)終始絶好調に弾きまくり、3人でライブをやっている感バッチリで(これが当たり前なんだけど…)何度もグッときた。

ギターの揺らぎの多彩さ。増幅、震え、揺らぎといっても様々な波動があり、弦がガラスの筒のように共鳴し澄んだ響きがある。例えばの話として、油絵の具には「赤」といえどもたくさんの「赤」の色味があって、画家はこの中から”こういう絵を描きたい”というイメージに合う赤を選び、パレットの上で調合して「自らの赤」を作り出し、キャンバスで形をつくっていくーーー今日のヤマジさんのギターを聴きながらそんなことを思った。
久々の「slower」も以前と印象が異なり、仄かな艶めかしさと憂いは消え、下を向きながら前へ進むとでもいうような色合いがあった。「cyan」はこういう楽曲もあることがdipの面白さだと再確認。
ここで痛郎の井出さんのMCを引用してからの「at there i will cry」・・・・・!!!!!あああああ!大好きな曲!意識が遠く彼方へ行ってしまいそうになりながらラリーズのことを思い出して(昼間見たモダ〜ンミュージック トークと繋がったり)、そういやこのベースラインをサンプリングしてた曲なんだっけ……(Dirty Beachesね)、なんてところにTalking heads「Road to Nowhere」が入り込んでウワー!と心のなかで小躍りした。ヤマジさんのこういう遊びが大好き。
「hollowgallow」のナガタさんベース、いつもと違うバキバキな音に思わずウッと声が出た。ヤマジさんがこそっと何か伝えてからの音が確実に変わった。ナカニシさんも手の怪我は完治かな、空間狭く硬質なリズムキープが好き。「break on through」は咆哮せずに盛り上がってたのも良かったなー。
満場一致のアンコール!アンコール!そしたらなんと「大好きなギタリストの曲を」とgang of fourですよ、アンディ・ギル追悼か!「I found that essence rare」ですよ!!!息が止まった。ちょう久しぶりではなかろうか。みんなイントロで気づいて「ひゅうう!」って声あがった。あのジャギジャギしたギター弾きながら唄うヤマジさん、スゴイ。


旧曲も今の曲もカバー曲も全て、この瞬間だけのdipの音として鳴っている。次はまた違う音が鳴る。理想を掲げて、疑問を持って、今可能な解を探して、見つけて、変化していく音を聴くためにまたライブハウスに向かうのだ。