uminecosounds「味噌」

5年ぶりの新譜だとは信じられないほど、この5年間は濃厚だった。2014年7月に前作2ndがリリースされたものの、翌年2015年2月に古里さんは西永福にカレー店「ウミネコカレー」を開店。あっという間に人気店になり、え?バンドは??と思いきや、その翌年2016年に「ウミネコカレー1周年ライブ」を敢行、ゲスト盛り沢山の大掛かりなライブで、一応バンドは続くのねよかった……2017年にも数回ライブあったし、と思いきや、2018年2月に店を幡ヶ谷へ移転!3周年記念ライブはあったものの、うん、やっぱりもうカレーメインなのかなあ。。。でも店に行くとちょこんとバンドの音源置いてあったりするし。。。
そして今年。2年ぶりのライブがあって、新譜出して、ツアーもする!って!!店を5年継続し、スタッフに任せられる体制も作れたし、よしッ新たな旅立ちの感じがした。にもかかわらず昨今の状況でツアーは中止。なんてタイミング。でも、そんな事態も宇宙の営みからすれば些細なことだと思わせる包容力と時流に乗らない佇まいが新譜にはあった。


味噌

味噌

  • アーティスト:uminecosounds
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: CD
紙ジャケで、写真は佐内正史さん。じゅっと紅葉した景色が美しい。広げるとポスターにもなり、歌詞カードでもある。こうやって手にとれることが嬉しい。ひとつひとつ丁寧に優しく包まれたCDの大切さ。そして発売元:UMINECO RECORDの表記。今年からこの言葉を目にするようになり、まさか自主レーベル発足?と思ってたら、やっぱりそうみたい。


聴いてまず思ったこと。なんて滋味深いのだろうって。派手さやキャッチーなところは皆無。エバーグリーンとも違う、この感じ。「時を経ても色褪せない」のではなく、「日々の営みの中で熟成し私の中で深まりながら鳴り続ける」楽曲。アルバムタイトルが「味噌」とはなるほどだなあ。もはやスパイスではなく、醤油とも塩とも違うのよ。確かに「味噌」だ、このアルバムは。


音の配置がいい!ウミネコはアンサンブルが良いのだけど、各楽器の音の形のくっきりさも見事で、空間に絶妙に配置されている。ドラムの感触、ベースの響き、ギターの鳴り、そして声、歌詞。各人の5年間の変化を感じさせる。「平常心」の変拍子の土臭いカッコよさよ!そして4曲目「花畑(腸のテーマ)」、静かに揺蕩う水のように始まって、俯瞰的な歌詞の後のギターソロが凄まじく、どんどん広がっていく様に泣いた。最近のライブでは「イエロームーン」「まちのあかり」やらなかった理由がわかるような気がする。ああああライブで聴きたい・・・。
「雪かき」、この間のライブでもやった曲。イントロであーヤマジさん作曲だなと思う。みんなのコーラスが可愛いのです。”こーどーもーのころは””よるがくーる””ゆきかきっ” ”子供のころはうれしかったのに”って歌詞が胸に刺さる。


掌のような楽曲たちは優しくて切なくて、地味だけど実のところ複雑で辿るたびに発見が潜んでる。日々の想いを発酵させて40分ほどのコンパクトな収録時間。雪がしゅんと溶けるように、灯火がふっと消えるように、自然と土へ還っていき、私の生活と地続きになっていく。
1回目の再生はスピーカの前でじーっと聴いて。2回目の再生でY氏が合わせてベース弾き出して嬉しかった。「雪かき」では私コテさんコーラスで一緒に唄った。uminecosounds特製味噌でお味噌汁をつくった気分だね。はあっと染みるお味噌汁の味。
https://music.apple.com/jp/album/miso/1507371002
味噌 by Uminecosounds on Spotify

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(余談その1)店でアルバム販売はしているけれど告知ポスターとかは貼ってなくて、でも友達のバンドのは目立つところに貼ってあるのが古里さんらしさ、なんだろうな。(余談その2)ヤマジさん作曲で、dの曲とメロディが同じ曲があるけれど、ライブ会場限定発売のCDに収録のみのため、ごく一部の人にしかわからないよ?ということは敢えて書いておきます。