下山淳+ヤマジカズヒデ「I saw the guiding light」

下北沢CLUB Queにて。限定数観客有・配信有のライブ。今の時代のスタンダード。いつも通りに仕事して、帰りに晩ご飯買って、食べ終わって片付けてからちょうど始まった。クロムキャストの調子が悪いので、i-padをアンプに繋いでスピーカーで聴く。

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公式から勝手に拝借(すみません)した、配られないチラシ画像。ヤマジさんが制作したっぽい。フォント選びと色合いがサイケデリックで素敵。さて以下、本編感想。今の気候並に \灼熱酷暑の濃厚な独り言/ でお届けしまーす。こんな長文誰も読まないけどいいの、自分が楽しいから。
※追記※翌日のヤマジさんのツイートで、↑の元ネタは「i saw the light」のsgジャケと知る。収録ALは当然ながら知っているけどsgは知らんかったよ……。“そろそろ光が見たいと思い”という言葉にグッと来た。



下山さんはアコギ、ヤマジさんはいつものジャズマスター
下山さんのソロ曲「長い道」から始まる。サイケデリックでフォーキーなアコギの音色にハッとする。そこに入るヤマジさんの音色との絡み合いは初めてとは思えない親和性があった。


下山「ヤマジくんは前から知ってたけど2人きりになるのは初めて」
ヤマ 「笑 いい感じです」と冒頭からにこやか。ここで黒のマスクを外す。


下山「(ルースターズ在籍時)何曲かでも僕が歌うとボーカルが休めるんじゃないかと…」と当時カバーした楽曲で、ヤマジさんが「今度演ってください」とずっと言っていたというMCからのTelevision「days」。下山さんもエレキ(シルバーの渋いギラギラ!)に替える。ヤマジさんのカバーは何度も聴いているけれど、今日は格別に穏やかで柔らかい。


3曲目は「御座敷テクノ」と下山さんが言って、クラフトワークの「neon lights」。これもヤマジさんのカバーで幾度か聴いているけど、下山さんのギターがアシュラテンプルぽくてフォーキーなテクノといった趣き。ヤマジさんが唄った…!後半のギターの展開は宇宙へ飛ばされてしまった!下山さんが作り出すギターの天の空の中でヤマジさんが遊泳して弾き倒す音色にグッときて、泣きそうになった。

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こういうショット、映像だからこそで、2人の音を体現してて嬉しかった。


ここで高橋浩司さんが入る。フルドラムはまだ早い?からかパーカッション。
ルースターズの「she made me cry」歌はヤマジさん。何度も弾いてきたであろうルースターズを、憧れのご本人と共演してギターを弾き、歌うなんて、ホント続けてきたからこその舞台だよなあ。途中で下山さんの弦が切れて、アコギに変更。曲が終わってから「弦替えてるところ配信しようか?」ここでタバコを加えるヤマジさん。


イントロから印象的な音色は下山さんがかつてやっていたバンド 60/40 「昔話」。活動は91〜92年となるとオンタイムでは知るよしも無かったサウンドはなんとも柔らかいサイケデリックで、そよそよと歪んでいく、穏やかに広がりながら狂っている、とでも表現すればいいだろうか。桃源郷を描くヤマジギターはqueで聴いていたら気が遠くなって何処かに行ってしまっただろう。ヤマジさんはdipを結成する頃だから、こういうバンドをやろうと思ったのかな。


ヤマ「俺が初めて下山さんを見た時は上智の学祭でした、ゼルダとスライダースと」
下山「あの頃大変だったんですよ」
ヤマ「外から見ても…」
下山「あの頃は阿佐ヶ谷に住んでて、(上智には)電車1本で行ったのかな」
ヤマ「俺も当時住んでましたよ、阿佐ヶ谷」


続いてはトッド・ラングレンi saw the light」こういうサイケデリックさも。ちょいテンポ早めで軽やかなアレンジ。ボサノバなヌーベルバーグぽさもあって。


再び 60/40 「sell my soul」、うおーーこれ、イントロからもう、これ、dip!!!(いや、逆だから…)赤い熱が蓄熱しながらスパークする!ヤマジさん、めちゃくちゃ触発されてきたんだろうなこの曲に!「ヤマジー!」と下山さんが言ってからのギターソロ、ひたすらかっこいいいいいいいいい!!!んでまたそこに絡む下山ギターがかっこいいのよ……。クールな熱。


ルースターズ曼陀羅」、これもカッコいいなー!これもdipだねー(だから逆…)つか、下山ギター凄すぎる。自由闊達でスリリングでどこまでも空高く進んでいく。これは「着いていきます!」ってなるよなあ。真骨頂!触発し合うギター!2人が歩んできた道のりが想いが凝縮された音。カッコ良すぎて泣きそう。いや、泣いた。


いつもより少ない客席だけど、PCからでも盛り上がった空気が感じられる。
ヤマ「この曲で終わりでもよかったですね」
下山「あ、余裕になってタバコ吸うんだね、いいよ」
ヤマ「まだ2本」
下山「もう2本?まだ2本?」


下山「こうやって生でライブ見るのみなさん久しぶりですよね。でも無観客配信というのも結構辛いものがあって…喋っても誰も聞いてくれる人いないし…リアクションとか」
そうなんだよね、ライブというのは演奏者観客双方で作り出すものなんだよな。そんな想いを再確認する。そりゃ今までと同じように出来ない状況だけど、少しづつでも火を絶やさないように灯し続けて、また大きく火を燃やそう。


最後はもう一度ルースターズ鉄橋の下で」、さっきの熱を一気に冷ますように切ない余韻。


アンコール。
下山「ヤマジくんがタバコ吸ってたから俺も…」

高橋浩司さんはドラムセットに座り!ベースに上田ケンジさん。
下山「やったことない曲です」と言ってニール・ヤングlike a hurricane」。枯れているけど包容力ある音。ヤマギター炸裂。ヤマジさんの長年の想いが感じられる。下山さんはアコギからエレキに変えての凄まじいギターバトルになった。まさに名演。


続いては「i'm a king bee」、ブルージーな展開であってもサイケデリックな己の音。2人とも立ち上がって、更に翼を広げて、呼応し合う。間髪入れずに、村八分「水たまり」どんどん深く深く……。


最後にルースターズdo the boogie」キレまくる。凄まじく切れ味の良い刃で切り刻む。不思議と重くないのにズバッと切れる。軽くやってるように感じる。まるで武術のよう。高橋さんと上田さんは直前に出演を頼まれたのに、この2人のギターをバシッと支えてるのも凄い。
気持ちよく、スッキリと、終了。


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配信ライブならではということで今回も落書き付き……


今回のライブ、queのインフォに

日本が誇る孤高の天才ギタリスト、ヤマジカズヒデ
そんな彼を主役に迎え、下北沢CLUB Queが送る月一回の定期実験ライブ。
下山淳との強烈な化学反応を観るべし!

と書いてあって、確かに強烈な化学反応だった。なんというか、ヤマジさんのギターは下山さん直系なんだなあ。好きでこういうギターを弾きたいって憧れて、真似して、研究して、でもそれは単に技術としてではなく、元々のセンスとか材質が共通してて、脳内でヤマジさんが構築してた音像が具現化されたようなステージだった。それはこの歳になったからこそ可能になった音。ずっとずっと続けてきて、ひたすらに自分のギターを追求してきて、樹海から出て、あらゆる場であらゆる人と弾くようになった今、至った音だった。下山さんも自分をリスペクトし火花を散らしてくれる存在を嬉しく思ったのではないだろうか。


配信でここまで伝わってくるのだから、現場にいたら大変なことになっていただろうなあ。
さりげなく「月一回の定期実験ライブ」とあるので、期待してます(そういや「夜のふくろうたち」「VSシリーズ」はどうなった…)
そして私はいつになったらqueに行くのかな……。