LABO another8

ヤマソロ at 西早稲田blar blar blar
席数が少なく、瞬殺であったチケを運良く取ることができた。このご時世に付き、早めの開場時刻17時前に軽く界隈散歩。久しぶりにこの辺り歩いた。神田川に向かって坂あり暗渠ありで楽しいのだ。


最初にまとめてしまうと(何故なら例の如く長くなるから)、89年から90年代初頭にかけてのMMやMIXに宝島にPALADE、D2NにBEAT UKを思い出した。ヤマジさんとしてもdip the flag〜dipの模索中に新しい音楽が次々と生まれた時代だったから、印象深いのかもしれない。会場には小野島大さんや今井智子さんがいらしたと後で知った。


この間も「(コロナ禍で)部屋に篭っていることが許された!」と発言があったけど、部屋の中で聴いては弾いて発見しての実験が楽しくて、その一片を聴かせてもらったようなライブだった。「ファンのみんなに聞いてほしい」的な視点は無くて、MCにあったように「自分の快楽を求めて」が基軸なのだろう。


かつては「カセットテープの樹海」で一度入ると帰れなかったけれど、今は「データの樹海」になり、意図的に入っては出てきてを容易に出来るようになったからか、2021年の空気が流れていた。頭の中に浮かんだことを具現化しやすくなったのかもしれない。
なんにせよ、若い頃の曲をあの頃の空気を全く変えずに今この時に送り出し、しかも誤魔化すことなく当時よりもガッツリ歌えてドップリ弾けていることがホントすごい。



sunday paffce」が鳴る中始まった。この曲の不安定な不協和音を聞くと時空が歪んでしまう。
 『カラオケに聞こえるかもしれないけれど、全曲オケを作り直したんで』
最近おなじみver.で「エミルー」、Manuel Gottsching的宇宙が広がる。この手の音が好きな人に届いて欲しいなあ。勝井さんが主催のイベントに出てくれないかしら・・・

ダージリン」「ハルシオン」と来て「amp hate mine」!一瞬でここでないどこかへ行ってしまう。
そして雨音と雷鳴が轟き、おおおフィールドレコーディングか!!と胸が高鳴った中に沈み込むのは「sinker」、今の息吹が吹き込まれると、とても豊かな空気が感じられた。それはそのまま今ヤマジさんが吸っている空気なのだろう。昼ごはん食べて部屋で弾いていたら、急な雷雨になり、その音を聴きながら演奏を続けてる姿が再現されたかのよう。音源よりもずっと良い!バンドとしてライブで聴きたい。

五輪真弓少女」のカバー、ヤマジさんの歌声は深みを増し、ラストのギターはニール・ヤング降臨なフレーズで素晴らしい!後のMCによると、ほんとに『もしもニール・ヤングが弾いたら…』気分だったようでナルホド、その通り!
カバーは他にゴールデン・カップス本牧ブルース」、以前ライブで一緒になった恒松さんがカバーしててカッコ良かったからとのこと。こんなキッカケもヤマジさんらしい。

  『カバーというのは、ドリフみたいなもので……“もしも○○が演ってみたら“みたいな……』

名言出たー。さっきの「少女」について言及し、本編ラストは『もしもfeltがカバーしたら』で「天使」。うん、そだね笑
そう、ヤマジさんのギターは曲ごとにいろんなタイプのギタリストが登場するのが楽しい。ロック畑だけではなく、様々な年代の様々な場に積極的に行って欲しいなあ。


なんてなこと思いながら、「i’ll」。というか、コレD2N!!!もう身悶えするしかなかった。トラウマのように脳内に刷り込まれているD2N成分がイマココに。
続いて「bend your head」はリズムトラックが軽いアレンジで、落ちない夕陽気分ではなかった。「chainsaw」もやってくれるの……!最後のギターがドッと深まるところ好きなんだけどカット。にしてもこの曲「夏なんです」気分だったなんて、私は今まで全く理解していなかった。あの寂寥感はUSインディーではなく、はっぴいえんど経緯だったとは。目から鱗(今更すんません)

この「○○気分」な演奏ってヤマジさんらしいんだけど、今夜の「since yesterday」はrevolver ver.にシューゲ成分を更に強調。『バンドじゃ絶対やらない』と言ったのは「after sunday」、US3やらグラウンドビートやらは再評価されないけれど、オンタイムな人たちの血液にトラウマのように沁みているのよ、BEATUKのジングルとともに……(震)
  『改めて90年代の、サマーオブなんとかとか、そういうのが好きなんだなと』
アンコールの「crawl」はPrimal scream「loaded」のリズムトラックをサンプリングを土台に、気持ち良く泳いでいた。

実はヤプーズ用に書いたという曲は戸川純さんが天に祈るように歌う姿がダブったし、ベラさんに捧げる「too far to go」は鎮魂歌だった。気持ちが唄に宿っていた。


9月には名古屋大阪東京とソロツアー決定。今のヤマジさんの音と唄が聴きたい人たちに届きますように。知らなかった人たちの耳に届きますように。