なくなる

1月29日、トム・ヴァーレインの訃報に大きな声上げてしまった。ショックというかなんだかよくわからない気分。だって盤を再生すれば今までと変わらず生々しい痙攣が響いてくるのに。televisionの2013年来日公演で見た時に、今まで耳でしか知らなかった音が目で知ることで、新たな驚きと発見があったし、音って震えて鳴るんだな…と改めて気付かされたことを思い出す。dipが前座で、「影響された曲をやります」と始まった「オモト」も素晴らしかった。音は継承されていくことを実感した。LUNAの「23 Minutes In Brussels」も大好きだ……
www.counterpunch.org

パティ・スミスの追悼文も(google翻訳であっても)素晴らしい。
www.newyorker.com


「私にとって」どれほど近しいかという点で、トム・ヴァーレインに対しては衝撃が大きい。音楽喫茶に行くと店主が「やー、今日は朝からずっと聴いてますよ」と、そのとき掛かっていたのは「dreamtime」だった。

Dreamtime

Dreamtime

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マジで「イタコロックフェス in 恐山」をお盆に開催するしかない。音甘ステージ①には、ルー・リード、ロバート・クワイン、アンディ・ギル、トム・ヴァーレイン、マーティン・ダフィ、テリー・ホール、ウイルコ・ジョンソン、アベフトシマーク・E・スミスダニエル・ジョンストンを、②にはグレン・ブランカ、ホルガー・シューカイ、マニュエル・ゲッチング高橋幸宏、アンディ・フレッチャー、アンドリュー・ウエザーオールをお呼びします。(思い出した順と音の方向性で)



2月1日、閉店翌日の報道を読んで漸く、渋谷の東急本店が無くなるということはBunkamuraも無くなるのだと理解した。胸の奥にドッと落ちた。映画も美術展もたくさん見た。地下の本屋も好きだ。裏手の広場のような階段もいい。近くのCD屋で働いていた頃の休憩中、ル・シネマのスタッフさんもいて映画の話をしたこともあったな。渋谷は文化に出逢う街だった。歳を取り、思い出だらけになっていく。



昨年末に亡くなった建築家 磯崎新のこの言葉を先日知り、驚かされた。
「俺の建築は100年後には1つも残らないだろう。でも紙は残る」
blog.livedoor.jp
磯崎新といえば80−90年代初頭のつくばセンタービルや水戸芸術館の印象が強いが、70年代終わりからずっと版画作品も数多く手がけている。そこには建築家としての建築批判もあるのだろう。この言い切りはすごい。


磯崎新の言う通り、建築物は100年どころか50年も保たない時代だ。でも紙は残るし、音も残る。(CDは再生出来なくなる恐れを感じつつも……)「なくなる」話ばかり続くように感じてしまうから、私は「あたらしい」気持ちを常に持ち続けよう。街に出て、あたらしい何かに出逢い、新鮮な空気で呼吸して、継承されたものに触れていこう。鮎川誠さんのように常に分け隔てなく素直に愛情を注ぎ伝えることのできる人でありたい。