5月の終わり、6月の初め


楽しみにしていた今年の5月もあっという間に過ぎ、私はただ歳を取っただけで何を得て何を失ったのだろうか。具体的にわからなくても、確実に脳内に占める%の区分けが変わった。そういう人生の季節なのだ。



5月3日(水) 晴。区内でも路線が違うと世界が変わる。ということで出向いた町は住宅街は至る所に高く高く聳える樹木があり、この街を見守ってきたのだなと思わせた。



5月4日(木) 晴。朝はやる気が起きず本日の行動すら考えられずしばしボーッとしていたものの、いつも穏やかな喫茶店に行き、ギャラリーに行き、歩くといういつもと変わらない行程を辿った。



5月5日(金) 晴 今日も暑く風が強い。レコード見に行ったらアズテック1st帯付がありこの値段ならいいかなあと思って購入、ジャケのよさが際立つ!素敵!



5月6日(土) 今日も晴れて風がとても強い。歩き回るのは危険と判断し、映画を見に行く。「それでも私は生きていく」。親の介護と私の在り方、という話なので我が身に痛烈に染みるストーリーだった。ミア・ハンセン=ラヴが今回も自身の経験を元にしただけあり、介護施設の状況をリアルに描いていて、フランスであっても高齢者問題には個人の尊厳を尊重することは難しいのだなと考えさせられる。ミアの映画として考えると、彼女が重ねた日々が着実に作品に反映され、脈々と流れる川の水質が確実に変わっていた。いい意味で瑞々しさが失せた。前作「ベルイマン島にて」はピンと来なかったんだけど、あの作品と自分に起こった事象があってこその本作だと、質感から伝わってくる。
【公式】映画『それでも私は生きていく』オフィシャルサイト



5月7日(日) 朝から雨だけどウチに籠るのもということで、昼ごはんはY氏と近場の店に出掛けたけれど帰りは土砂降りになり、Y氏と出かけるとこういうことが起こって面白いなあと路上で笑ってしまった。/ GWはクリーニングとウール製品洗濯できたので達成感ある。



5月8日(月) 朝は雨、昼には止む。GW明けだけど思ったより重くなく片付ける。まあこれから諸々出てきそうではあるけど。/ 会社帰りにコレとアレとなんて考えていたのにすっかり忘れてというかめんどくさくなり帰宅。



5月9日(火) 会社でおとなしくしていたのにいちいちギャーギャーしてしまうの、ほんとにやめたい・・・



5月10日(水) 頭痛いなーと思ってたら徐々に強くなり、夕方はかなりつらくてぼーっとしてた。



5月11日(木) 明け方の地震の影響が仕事にあり。昼間の雷雨は社内でわからずだったけど帰宅時の交通網は荒れていた。スムーズに帰れてよかったけれど。



5月12日(金) 人間ドック。身長1センチ伸びたのは背筋が伸びたからだと思いたい。/ ヴォルフガング・ティルマンス 「Moments of Life」開催直後に行ったら列が出来てて(!)諦め、再チャレンジはすんなり入れた。天井高い空間に大判並べて気持ちよかった。花や室内、人物像にこれまでにない愛おしさを感じる。ティルマンスの人柄が表れているのだろうな。
Espace Louis Vuitton Tokyo

伊藤眸「dosojin」滋味深い色合いに日本画の顔料を思い浮かべてたら、石を砕いて絵の具にしたというから驚いた。とても素敵だった。
伊藤眸「dosojin shapes and prayer」 | aprilshop

東急東横があと残りわずかだよ。

渋谷駅、「坂倉準三が思い描いた渋谷の未来とは?」なんて記事、よく書けるよなー。。。
www.shibuyabunka.com




5月13日(土) 雨ゆえ気持ち上がらず。気になってたお茶専門の喫茶店へ。カウンターのみで店主とずっと会話になり、ボーッとは出来なかったけど、、、コミュニケーションツールとしてのお茶の役割を感じ取った。/ 雨も弱くなり、駒場野公園へ緑を浴びに行く。時折電車の走行音が混じる静寂が心地よい。


日本民藝館へ。西館開館日なので訪問、2階の静寂が素晴らしくてしばしぼんやり。本館の展示物紹介札の、朱色の文字の美しさに見惚れて背筋がシャンとする。アケビの籠バックの人はやはりいた。
特別展 - 展示 | 日本民藝館
早めの夕飯で喫茶店、爆音で流れる音楽を張り合うようにおしゃべりの人たち。



5月14日(日) 雨が降ったり止んだり。今日はさらにぼーっとしてしまう。数駅先の店へ買いに行ったケーキがものすごくものすごく美味しかった。



5月15日(月) 坂本龍一が「自分の葬式に流すプレイリスト」を作成していたと知る。「葬式に流して欲しい曲」は「無人島に持っていくレコード」と同様に自分を語るネタとして使われてきたものだけど、実際に目の当たりにすると動揺する。でも現実の葬式では親族はやること多すぎてそんな余裕はないのである。
open.spotify.com



5月16日(火) 昼休み外へ出たら予報通り暑かった!もうこの感じが続くのか・・・



5月17日(水) Cornelius/火花 意外なほどに「刷新された音」ではなかったけれど、わかりやすく心情を綴った歌詞にこちらはこれまでにない感覚を得る。どうなっちゃうんだろと思ってたし、もう日本で活動しなくていいよと思ってたけど、あくまでもこの国を拠点に誠実に作り続けることをシンプルに伝えてくれて、目の奥がジリジリしている。
youtu.be



5月18日(木) 帰ろうとしたら遅延して爆弾投げ込まれて憤慨しながら処理したゲンナリ気分を払拭してくれたお店にはほんとうに感謝。美味しくて素敵でひっそりしてて。しかも「いただいたシャンパンあるんですけど、呑めないですよね?」「ちょっとだけなら!喜んで!!」と一口お裾分けいただく。そう、ちょっとだけなら呑みたいのだ私だって。ありがとう、良い夢見て明日を迎えられそう。こんな店主の気持ちよさに救われるのだなあ。/ マニックススウェード Wヘッドラインツアーのニュースに、ジーザスジョーンズとEMFとか、インスパイラルカーペッツとノースサイドとか、あああ「マンチェステージ」やってくれないかなーと脳内で盛り上がるのは疲れているから私はただただ踊り狂いたいのだ、あのリズムで・・・
→後日追記 疲弊した私の心を察知して、cherryredがこんなコンピ出してくれる・・・
www.cherryred.co.uk



5月19日(金) 午後から会社休んで、雨の中まずは練馬区立美術館へ。大沢昌助展。

初期の具象は初めて見たかも。周囲が画風を変える中でついていけずスランプに陥ったという話に驚く。その後の子供を描いた画がとても素敵で表情が愛らしい。人物以外の周辺の描写もセンスあるなあ。→ 抽象画へ移行したのは50代と知ってびっくり。その後も抽象の中で表現を広げていく姿がすごい。私が初めて拝見したのは90代だった。えー!。「絵が若いですねと言われるけれど、若い時はこういう絵は描けなかった」→音楽もお好きで晩年はブライアン・イーノを聴いていたそう。→ 大好きな「黒いおもかげ」を再見できたのも嬉しい。異色作かもしれないけれど。あの黒と形に衝撃を受けた。→たっぷり見ることが出来たけれど、ドップリしない軽やかさが大沢さんならではかもしれない。
生誕120年 大沢昌助展 | 展覧会 | 練馬区立美術館


その後高円寺へ出て夕飯がわりにカフェオレとスコーン。お店の方はいつも丁寧で気を遣ってくださり、素敵だなあ。美味しかった。おなか重くならないしライブ前にちょうど良い。終わった後もお腹空いてなかったし。そして、Highでdip



5月20日(土) 霧雨の朝。気重であまり動きたくない。でもだらだらしてると後悔するからウチを出て、好きなとこでご飯食べて、歩かないでバスで移動して公園行って帰ってきた。



5月21日(日) Y氏と外出。お昼は久しぶりに再開した中華屋さんで。美味しかった。→ 移動して毎年参拝するお寺へ。→ でどうするかとなってバス移動になり、Y氏の意見で⚪︎駅前で下車してレコード屋へ。海外客でいっぱいでビックリした。→ 疲れて休憩したいけど落ち着く良い店もないしなあとイライラしてたみたいで、Y氏に伝播し結局別行動に。→ 静かな店でミルクティ飲んで落ち着いた。ひとり帰宅して録画してた「トリコロール 青」を観たり音楽聴いたりして過ごした。



5月22日(月) モヤモヤオロオロしながら朝を過ごし出社→退社、帰りにユニオン寄って・・・

Le Jardin De Heavenly

Le Jardin De Heavenly

Amazon
リイシューホイホイにならないぞ!が合言葉だけど、これはそこまで高くないし、、、と買ってしまった。30年前の私に手を振りながら、感謝して今夜を過ごす。半世紀ありがとう祭り。



5月23日(火) 今日は会社休んだのに、雨でかなり寒い。天気のせいか消化も悪く行動力も弱い。そのうえ好きな店はことごとく火曜休みでガッカリだ。せっかくの今日なのに、な・・・。夕飯は奮発してデパートでお刺身買う、鰹と鯵。



5月24日(水) からだの波に乗って、心がブレることなく、周りを振り回さず振り回されないしなやかさを備えて生きていきたい、のです。



5月25日(木) 残業して、今日はひとりごはんなので馴染みの店へ。まだ外は明るい。日が長くなったなあ。オフィス街の谷間の街路樹沿いの道路を眺めながら、東京の、自由を感じる。お裾分けでプリンいただいた。



5月26日(金) 委託事業者が人手不足で業務が回らないとこちらに業務代行を要請してきてエライ人たちが了承してしまうのは、まっことにおかしなことじゃ、と万太郎が言ってる。



5月27日(土) 紫陽花が咲き誇っていた。早い。/ 「見てほしい!」とおすすめいただき、映画「アフターサン」を観た。感想を一言で言い難いのは、複雑で繊細でデリケートで、観た人が抱えてきたものに委ねられる部分が多いからだろう。掴もうとしてもするりと逃げていく、水底が見えない印象を形成する画作りと音作りが魅力的で、今思い出すと映画だけど抽象画のようでもあり、記憶の破片がレイヤーとなって風が吹くたびに景色が変わる不思議な映画だった。今はもういない母が動く姿を思い出す。私には脳内の映像とアルバムの写真しかないけれど、ホームビデオが当たり前の世代だと過去を映像でも見るから、想い出として立ち上がるものが違うのだろうか。→90年代後半が舞台、スコットランド出身の監督は87年生まれだけどTFCは好んで聞かないものかしらね。blurの使われ方はここぞ!であったり、R.E.M. は驚愕な使われ方であった・・・。(監督のお父様が聞いてたらしい)→心のビデオに残る映像がマシンのビデオに同期できないかと模索したようなところもありそうで、それはフィクションとノンフィクションの関係性と実のところ似ていて、「阿賀を生きる」を思い出した。→印象的なショットと音楽の使い方も巧みで、心の記憶の空白をマシンの記憶で埋めているのだなと思うと、胸が締め付けられる。→ 「文化」であっても単純明快に染まる世の中を憂いながらも映画を観に行くのが難儀になってきた今日この頃だけど、自分の日々に多面的な層をつくってくれるのが映画だな。硬くなった私の心を動かしぽん、と送り出してくれた言葉は手紙のようで、とても嬉しかった。
映画『aftersun/アフターサン』公式サイト 5/26(金)公開
帰り道に見上げた空は、夏だった。



5月28日(日) 晴れたけれどどこか雨に向かっている空気。最近出来たカフェに行くと「スパイスティ」があったので、「チャイは牛乳が重いから、入ってないの助かります」と言うと「わかります!ご飯食べた後にカップにいっぱいのチャイってつらいですよね〜」と返され、「そうそう!コーヒーは種類あるのに紅茶はチャイしかない店多いんですよ!」などと意気投合する。



5月29日(月) 一日雨。上司からの命令による業務を疑問を吐き出しながら淡々と進める我が係。こうやって「数値合わせのための業務」が遂行されていく。



5月30日(火) 問題に気づいたのか昨日の業務指示があっさり無くなる。バカらしい。



5月31日(水) 帰りの空が美しくて、ああ夏だなあと思ったけれど、スーパーのとうもろこしは早すぎる。



6月1日(木) 会社休み。早稲田大学會津八一記念博物館にて「わたしが描く-コレクションでたどる女性画家たち」良い作品が多く、特に嶋田しづや坂上怜湖の抽象画が素晴らしくて心に響いた。困難な時代を経て描き続けた意志。
【企画展】わたしが描く-コレクションでたどる女性画家たち 2023年5月15日(月)~7月6日(木) – 早稲田大学 會津八一記念博物館

弥生美術館にて「森本美由紀展」卓越したデッサン力とセンス!美しい。そしてタマチャン!!更に掲載誌としてmcシスターとoliveに泣く。(ところで今日、形見分けという企画してたのね・・・知らなかったヨ)



弥生美術館・竹久夢二美術館
→続いて竹久夢二美術館にて「描き文字のデザイン ―大正ロマンのハンドレタリング―」夢二の描き文字に焦点を当てた展示。すっごくたのしかったーーー。そうですこれーー!って感じの。

夕方からちょい頭痛。台風が近づいている。



6月2日(金) 不備に関して厳しく指摘してきた相手に「最近指摘がないんですけど、諦められているんですか?」と言われて「全然無いわけではないけれど、指摘するほどの内容ではないから」と返すと「そういう些細なことも言ってください。指摘してもらったから自分も気づけて成長出来たんで」と言われて、とても嬉しかった。/ 台風接近による大雨。諸々心配。



6月3日(土) 朝はコーチェラでのDepeche modeBlurのライブを観た。Depecheは美しくて強靭で泣いた。blurの楽しそうな、バンドだなあって空気もよかった。デーモンの「ワールズエンド(エドガー・ライトの)」に出てます的英国人のデップリ感もいい(褒めてる

何万年ぶりにユーロスペースで「少年、機関車に乗る」我が人生の一本は今見ても揺るぎなく、ただ見てるだけで楽しくて幸せで、きめ細かになった映像の美しさ、不可思議な音の揺らぎ、デブちんの愛らしさ、機関車が走る姿、すべてが素晴らしい。大好き。
khudojnazarov.com

そしてまたしても何万年ぶりの下高井戸シネマで「ティーンエイジ・スーパースターズ」字幕付劇場公開ありがとうございます!グラスゴーの人々のティーンエイジからの出会いと憧れが脈々と繋がって、時に誰かに振り回されたり(笑)時代によるシーンの移り変わりとバンドのタイミングがハマったり翻弄されながらも、その強い意志は残り続け素晴らしき音楽を生み出していく。→ アラン・マッギーが「スティーブンとはウマが合わなかった」「自分は勝つか負けるかだけど彼は引き分けを好む」と語ったとこがなるほど。スティーヴン・パステルさんの浮世離れさは自分と世の中をきちんと捉えているからこそなのだろな。vaselinsのフランシスさんが実は一番狂ってるのではとかも思ったり。ダグラスさんにはにっこりしちゃうし、ジェリーさんがTFCとして良さを語ってるから泣きそうに・・・(脱退の一年前に制作)


今日一日観たものアレコレは、若い頃が今に繋がってることを実感する。でもコロナ禍に配信で「teenage superstars」を観た頃は私はまだまだ無邪気だった。この3年間で人生の次のタームに入ってしまったことを強く痛感した。
mikk.hatenadiary.jp



6月4日(日) 久しぶりに遠出(といっても電車とバスで1時間ほど)、団地の向こうの田畑が広がるエリアを歩いた。


ハタノワタルの世界「風景画」、素晴らしかった。すごく好きな色と形。山の稜線の描き方!
JIKE STUDIO | 寺家スタジオ
離れのギャラリーで開催していた「吹きガラスの世界」展、渡邉祥彦さん作のグラスに一目惚れして購入。小さいので、あまり冷たいもの飲まない私の夏の帰宅時にコクリと、ちょうど良いかなと。