万華鏡の視覚

森美術館にて。「現代美術作家のショーケース」として教科書的に次々と並んでた印象。なだけにオラファー・エリアソンやカールステン・ニコライ等々、作品を十二分に楽しめる構成/展示方法とはいかないように思えた。でもジム・ランビーの白黒ストライプ上をぐるぐる蠢くイェッペ・ハインのミラーボール! この組み合わせ素敵!ナイス!
展望台に来た家族連れがついでに見るというトコロも大きいので、見る時の状況にかなり影響されそう。
このあとスカイデッキに初めて行きました。六本木ヒルズの屋上展望台です。晴れててすっごくきもちよかった!

こーんななかを歩くのでビビりました。

眺望についてはまた今度。

桜と初恋


ポンポン八重桜もかわいい。

ウコン桜の淡く黄色がかったのもきれい。


「初恋」をテーマに人気イラストレーターのかたがたが多数参加したちっこくてかわいい展覧会におでかけ。先に書いた「万華鏡の視覚」が「現代美術作家のショーケース」ならばこちらは「日本の若手イラストレーターのショーケース」かもしれません。
たくさんの丁寧な作品の前に「ハテ、私の初恋って何?」とひとりごちる童顔の三十路がここに。いったいイツのドレなのかよくわからない!小学校のときのTくんなのかSくんなのか、「カッコいいなー」って他の男子とは別扱いの存在の子ならばソレなのか?「胸キュン」とかそういうのって漫画じゃなくて、実際ホントにあるもんだっけかねえ…と遠すぎる微かな記憶を手繰り寄せすぎて、気を失いそうになる、アレレー。
初恋ソングといえば斉藤由貴?、でもホントの思い出としてはこの曲かもなあ。

この曲が大流行してたころ、ラジオで「ポップスヒットテン」とかなんとか聴いた次の朝、隣の席のAくんと「昨日の1位は○○だったねー」って話をするのが楽しみでした。それがちゃんとした?初恋なのかもしれません。リック・アストリーに対してそんな秘話を持つ私…。

内藤礼/Color Beginning

ギャラリー小柳にて。繊細で緊張感ある空気が印象的な彼女の作品がコンクリートやダクト剥き出しのギャラリーに置かれても、その場を変容させるマジックは起こらなかった。
淡いピンクのドローイング。ふぁさりふぁさりと漂う糸。しかし場内が静かになるのを待ってしばらく空間に身をゆだねてぼうっとしていると背中にすっと気配が入り込む。あ、って。その気配はじわじわと私のからだのなかに浸されて広がってゆく。
やっぱり彼女の作品は展示する場を含めてひとつのインスタレーションとした作品であるのがいい。

家族の物語〜「その土曜日、7時58分」「マーゴット・ウェディング」

その土曜日、7時58分
三軒茶屋中央劇場にて。家族の崩壊を「どう」描くか、という点においてシドニー・ルメットの手腕が冴え渡る凄み溢れる作品だった。「今そのとき唐突に」ではなく「そう成るべくして」のストーリー展開がペリペリと頁をめくるようにほどかれていく。フィリップ・シーモア・ホフマンのあごとお腹回りのてっぷり感が、まるで兄の「人となり」そのものを表すかのように腐敗してぐちゅぐちゅした肉に見えるのがすごすぎる。


「マーゴット・ウェディング」
ノア・バームバック監督による前作「イカとクジラ」も面白かったけど今作は日本未公開のためDVD鑑賞。ジェニファー・ジェイソン・リー出演が個人的には嬉しい。
夫婦、親子、姉妹の関係性から人間のイヤーな部分をこれでもかと描きだし、笑えるけど笑えないシニカルなシーンの連続がこの監督らしい。それでもどこか希望を持たせる点がこの監督の、人を信じる部分なのかもしれません。前作同様にちょっとした小ネタもおかしくて、パツンと幕が下りて余韻を残す終わり方も絶妙。