11月の終わり、12月の初め

11月3日 祝日、晴。近所で、この2年近く伺っていないお店が出張販売をするというので向かった。「あれ?久しぶり…ですよね? 」とお声がけいただき、恐縮しながら話す。笑顔とお喋りが気持ち良い彼女のシャキッとしたところは変わっていなくて、今日の陽光のようにキラキラしていた。


11月4日 久しぶりの出社で変な感じ。


11月5日 今日は変な問い合わせが多かったな…… / 会社帰りは、閉業した店を引き継いだ場所に新たにオープンした店へ。ここに至る話は以前ここに書いたことがある。前店主が作り上げた空気と現店主が過去2つの街で作ってきた空気が混じりあって、とても良い店になっていた。1人カウンターで本を読みながら、2人でお喋りしながら、それぞれが飲んで食べてひとときを過ごす、自由がここにあった。半年前「今移転して落ち着いた頃には世間の状況も変化して、またみんなが気楽に食べたり飲んだり出来る居心地の良い場所を作りたい」と言った店主は広くなった厨房で忙しそうに、でも楽しそうに料理を作って客を迎えていた。嬉しい夜はこれからも続いてく第一歩だ。


11月6日 散歩してひと休みと喫茶店に入ったら、本を読んでいるY氏がいたのでびっくりした。近所ではないこの街でバッタリ会うなんて。Y氏が座ってるテーブルのもう一つの席にお邪魔する。向かい合っているけれど喋ることなく、それぞれで本を読んで過ごした。/ 夜ご飯は毎年11月頭に伺う店へ。バターナッツのすり流しで始まる献立。


11月7日 新宿三丁目駅から武蔵野館へ向かう道、久しぶりすぎて迷う。→ 着いたと思ったら上映館はシネマカリテだった てなズコーッを経ての久々の映画鑑賞。「スウィート・シングス」ああ、USインディー映画を見ているなあとしみじみする。舞台はもちろん、音楽の付け方がもう、ね。カレン・ダルトンがかかってびっくりした。アメリカの田舎の子供たちの過酷な家庭環境に辛くなりつつ、映像の切ない美しさに「映画を見る」喜びを感じた。 / 父から電話。実際に作るまでに至らなくても、新しいお菓子を考えることがとても好きなんだなあ。


11月8日 先週から天気予報では雨マーク有りだったのに、晴れて太陽が覗いた一日。さすが晴れ男のY氏の誕生日である。この1年も良き日々で彩られていきますように / カムカム、たった15分で2人の暮らしと季節の移ろいと世の中の変化と恋心の深まりをぎゅっと豊かに伝えていて、すごい。


11月9日 エライ人の庶民を見下したやり方に憤りを通り越す。/ 以前引用した記事の連載が一冊の書籍にまとまったので購入し、少しづつ読んだ。
www.gentosha.co.jp
諦めたり冷笑するのでもなく、私は私の仕事を全うし、自分のリズムで鼻歌しながら歩き続けよう。


11月10日 パン屋さん店内を走り回り、大声上げて窓ガラスを叩いている子供を静観していたが我慢できず、「シーッ」と人差し指を口に当てて声をかけたところ、その子が走り去った先にいた親はレジで会計待ち中に店内をスマホで撮影しまくっていた。こういう人は国のエライ人たちと同じレベルの精神力だよ、全く。/ オフィスビルのエレベーターやコンビニ、近隣の飲食店は混雑していて、あー戻ってきたんだなーとどんよりする。/ はてなブログ10周年だそうで、えー!ダイアリー村に居座り続けたのも今や昔。


11月11日 Margo Guryanが亡くなったと知る。ミュージシャンの訃報は作品自体は時を越えて鳴っているから、いつもピンと来ない。damonさんが幼い頃彼女にベビーシッターをしてもらっていたという話にびっくりした。

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さて今日はお休みして秋の遠足。町田市立国際版画美術館へ。「版画の見かた ―技法・表現・歴史―」を見る。
版画の見かた ―技法・表現・歴史― | 展覧会 | 町田市立国際版画美術館
多種ある技法により多彩な表現を見せてくれる国内外の版画作品が紹介され、とても楽しく気付きも多く、良い展示だった。
町田では市民文学館で浅生ハルミンさんの(!)展示も見るはずが、今日は毎週月曜日に加えて月1の休館日だった……。まあ版画美術館のある公園散歩楽しかったし、まあ、いいよ……。

一気に東へ移動、「サウンド&アート展-見る音楽、聴く形」へ。
サウンド&アート展-見る音楽、聴く形|クリエイティブ・アート実行委員会
音響彫刻を始め、創作楽器〜演奏装置といった「音を出す」形を見て、聴く展示。こういう展示は単純に楽しい!のだけど、派手なリズム装置よりも「響きを感じ取る」楽器が好きだなあ。それと自分で演奏するより音を聴くほうが好きなんだな、私。あちこちで音が鳴るのでタイミングが重要で、魅力が埋もれてしまう作品も多いのでは。さすがに耳もかなり疲れてしまった。とまあ、思うことはあれど、何よりも音が美しい楽器は姿も美しかった。


11月12日 会社帰りに東京都写真美術館へ。松江泰治「マキエタCC」、「日本の新進作家vol.18」を見る。どちらもコンセプチュアルで批評性の高い作品群。気軽に写真を撮り人に見せる行為が当たり前になった世の中だからこその「職業:写真家」を考えさせられる。
東京都写真美術館

帰りは渋谷駅まで歩く。生活圏以外ではこの道を一番歩いてる気がする。それこそ上京以来ずっと。311のあの瞬間もそうだった。元に戻らなきゃって賑わう恵比寿の喧騒を早足で抜けると電車の走行音が聞こえて、走り抜ける姿を見惚れて、あの先の清掃工場の煙突が目印で、歩道橋に上がってバス基地と都営住宅眺めて。変わった場所も変わらない建物も共にある風景。


11月13日 今日は比較的近所を歩いたのに10キロ超えしていた。一時期全然歩かなかったからか、最近全力で取り戻してる。/ 今日は15年目の記念日であった。


11月14日 そこまで寒くは感じないけれど、樹々の葉は色づいて確実に季節は巡るのだな。


11月15日 朝、今日は日曜だと思い込んでしまったのはなぜだろうか / 今日は一日消化不良。


11月16日 阿佐ヶ谷姉妹のドラマがおもしろい。夜30分という長さもバランス良い。「ミホさんにとって私は何点なの?」という台詞を真似してY氏に話したところ、大撃沈……チッキショー。


11月17日 昨日の夕刊に掲載の頭木弘樹さんのエッセイ「誰かの恩人ではないか」ーーー知らないうちに誰かに恨まれているかもと恐れる人は多いだろうけれど、知らないうちに誰かから感謝されていることもあるのではないかと綴られた文章が胸をコトン、と突いた。私の発言や行動により、誰かがほっとする何かにいつか繋がればいいな。今すぐとか直接的にではなく、回り回ってコトン、となれば良い。そんなコトン、の連続が忙しない世の中を気持ち良い方へ舵を取る事ができるのではないか。


11月18日 会社お休みして、まずは国立近代美術館「民藝の100年」展へ。白く明るい展示室に置かれると偉そうに見える。各章のタイトルや説明文に企画者の主張を感じて息苦しい。この「編集」もまた時代と共に変化するのだろう。最後のお約束の物販。柳宗悦が天で怒ってるんじゃなかろうか。何あれ。
柳宗悦没後60年記念展 民藝の100年 | 東京国立近代美術館
それよりもコレクション展のセレクトが素晴らしかったから、大満足。



11月19日 カムカムの展開の速さもさることながら、裾までピンと行き届いているところ、すごいな。


11月20日 久しぶりに訪れた街を歩いていて通りかかったギャラリーで現在展示中の看板に、あれ?と中に入る。内海満昌さんの個展、以前もここで見て好きな絵だなあと印象に残っていた。今回も溶ける空と海と山の色合いが素晴らしく、ギャラリーの方にお伝えすると12年ぶりだそう。なんてタイミング! 今日この街に来てよかったなあ。/ この街に来ると行く場所は決まっている。前回覗いたらお喋り組が多くて入らなかった音楽喫茶、今日はとても静かだった。晩秋の柔らかな光に呼応する音楽だけが聴こえて心地よいひとときだった。/ 夜はMETAFIVE配信。とてもかっこよかった。LEOさんのアツいパフォーマンス、クールでゴージャスな音、小山田くんが向こうへ伺うように緊張した声色で歌い出した時は身を乗り出したし、「環境と心理」での鼻にかかった優しい歌声を聴きながら好きだなあと思った。そしてギターワークは凄まじく、指と音の動きが楽しかった。最後の深々としたお辞儀。/ このあともっと事態は深刻化していくのだよな……。あり得た今を想像する。どうしてって思わずにはいられない。/ メンバーはもちろん関わったすべての人の尽力と気持ちに心から感謝します。そして、気持ちよく澄み渡る未来を期待して、そうなるような日々をみんなで作らないとね。


11月21日 隈研吾設計のM2の館内を見学、かねてからの願いが叶って嬉しかった。あのトンチキ(褒めてる)建築を買い取ったのが葬儀会社で、元の意匠を残しつつ業務に合うように改修し維持管理していることが素晴らしい。 / 内井昭蔵設計 世田谷美術館へ。何度も来ているけれど、建築目線であらためて見ると緑豊かな公園の立地を考慮し品性ある造形で、ポストモダンと云われる意匠も華美ではなく意志を感じる。/ その後は館内でグランマ・モーゼス展を。なんとも愛らしい作品ばかり。1940-50年代の北米で暮らす人々の景色にハウス名作劇場を思い出す。(ラスカル〜〜〜!)70代で描き始めたという話に生きる力をもらう。2階のコレクション展 大沢昌助と建畠覚造 大沢さんの作品大好きで90年代には個展も行ったものだけど、いつ見ても気持ちがスッと立つ。色と線と面の美しさ。建畠さんの彫刻と呼応して素晴らしい空間だった。
【公式】グランマ・モーゼス展 ― 素敵な100年人生
それぞれのふたり 大沢昌助と建畠覚造 | 世田谷美術館 SETAGAYA ART MUSEUM



11月22日 テレビ番組で今人気の2つの和菓子屋を知る。カラフルで物語性のある、インスタで話題になった両店はリアル店舗を持たずネットで受注販売をしているとのこと。実家が和菓子屋の私としては時代が変わったのねえ……と冷ややかな面持ちで見てしまったのだけど、例えば虎屋は御所の御用を承ったことが始まりなわけだし、ある意味時代によって変わりながら変わっていないのだよね。


11月23日 気になっていた火曜日間借り営業の店へお昼を食べに行くと、店主がよく行く店(現在店舗営業休止中)のスタッフさんだったから驚いた。/ コーヒーショップの閉店を知る。閉店の理由は行列店になったためという。この店で独立される前にいらっしゃった2店舗以来長年通っていた。一日の中の僅かな時間にパッと寄ってクイっと飲む、もしくは映画帰りに立ち寄りパンフやチラシを読みながら過ごす店だった。マキアートが美味しかった。プリンがSNSでバズってしまい、コーヒースタンドというよりもプリン目当てで来店し写真を撮る若い客が急増し、フラッと寄る店では無くなって、私の足は遠かってしまった。「私にとって大切なのは、お店が流行ることよりもお店にスタイルがあり、スタイルを持って仕事をし、それに共鳴してくれるお客さまがいることです。それができなくなってしまった時、閉店を決めました」 お客さまは神様ではない。自身の名を掲げて店を営むのだから、ご自身の美学を持ちながら新たな場所で仕事を続けられますように。


11月24日 昼休み、晴れているものののシャツ一枚では肌寒い。/ BS1「突撃ストリートシェフ」を最近見ている。各国のフード屋台の紹介をしながら歴史背景や流行りが見えてきて、とても面白い。


11月25日 一日中お腹が空く日だった。朝も昼も夜もいつも通りのものと量を食べても、まだまだお腹に余裕がある。こういう日は時々やってくるのだけど、ここで追加で食べた結果、もたれて胃痛になるのが怖いので食べない……。土曜のdipまでは心身ともに健康で・・・


11月26日 長が付く人たちのダメっぷりの裏切らなさよ……夜は前夜祭?な感じで・・・


11月27日 休業〜短縮営業でなかなか伺えなかった喫茶店へ久々に。私より年上の店主からこの街の変化を憂う言葉と共に、体力つけなきゃダメよーと諭される。/ 待ちに待ったdipワンマン!!!感想は別途。/ スタンドアロンで私は楽しむ。人の言動見て我が身を振り返る。


11月28日 待ちに待ったセミナーハウス訪問は、周囲の木々の色が美しくてまさに秋の遠足になった。改めてビッシリ書く!


11月29日 勤務10年の書状をいただきびっくり。/ 2時間ドラマで久々にコワイ異星人な松重さんを堪能出来て嬉しい。ゴローはもうやめていいよーと思ってたけど達人の対談でドキュメンタリーのように制作しているのを知って、心の中で謝ったよね・・・


11月30日 仕事、明日からの業務運用変更で今発覚するあれやこれや、他部署に確認したら「失敗したらまた決め直せばいいんじゃない」発言に無言になる / 「明日から12月ですよー早いねえ」なんて雑談で子供のクリスマスプレゼントの話になり、「mikkさんは欲しいものないの?物欲なさそうだけど」と言われ、内心「え!物欲の塊なのに!」と思いつつ、ホントに欲しいものなんてこの場で言えない!と0.5秒で考えた回答は「健康な体ですね」とボケてからの「マッサージチェア」です。


12月1日 深夜の強い雨足のまま朝、頭痛あり。雨と共に頭痛も治まり、出社時刻。業務の状況はまさに嵐であった。色々トホホな気分になりつつあっという間に夜。割礼の「セカイノマヒル」リマスターを買って帰宅。


12月2日 午後から在宅、昼前に会社出て途中下車してテイクアウトでカレーをピックアップして、帰宅後食べてまた仕事ってやり方だと、昼休み30分しか取ってなかった。


12月3日 シャンプーしてる時に揺れて驚いた。この頃細かに頻繁に来るので怖い。 / たまーに来る終日在宅勤務デイ。なんだかんだであっという間に終業  / 夜22時からヘッドホンでライブ鑑賞。気負わない時のギターワークを本家で存分に聴きたいなーとか私ゃシークレットゴールドフィッシュ派だからとか…… /モモさんも言ってたけど誕生日ライブって本人が一番大変ですね・・・


12月4日 今日は午前中に美容院と思ってたのに、朝予約メール見たら「明日」だったと気づいてエエエエエ / 晴れだしエイやっと、成増駅へ向かい、30分ほど歩いて板橋区立美術館。ポール・コックス展。素晴らしかった!洗練と遊びが共存する制約と自由な世界。日課という風景画の抽象へ移行する画面も素敵。更に図録がボックス式で、小さな作品現物まで入った宝箱のようで感激。
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つくる・つながる・ポール・コックス展|板橋区立美術館

その後は隣接する公園と植物園を散策しながら、再び成増駅まで歩く。秋の遠足。そこから副都心線で一気に田園調布駅。牧野伊三夫展、新しい白いギャラリーは交差点の角の2階で、光が溢れる気持ち良い空間に牧野さんの闊達な線が踊り、重厚な塗り込められた色の塊が置石のように鎮座していた。特に鈍重な色彩の絵に吸い込まれて、タイトルを見ると「夏」だった。


12月5日 髪を切り、移動してギャラリーへ。大塚文香「plants vegetable vase」花をモチーフにした今回の作品群とても好き。原画じゃないとこの細やかなズレには気がつけないだろうな。/ オードリー・フォンドゥカヴ 平山昌尚 二人展「101 to 101」往復書簡で共同制作された作品。オードリーらしい色と平山さんらしい線。/ 街は至るところ人が並び、師走の喧騒。



出掛ける距離が伸び、絵画鑑賞なども増えた。見慣れない風景や絵画が私を変えるなんてことはない。でもその破片が私には大切なのだ。

▶︎LABO 11 oneman◀︎

11月27日土曜日 下北沢CLUBQue。今年最初で最後のdip、ワンマン。まだ年の瀬感が迫ってないので感慨深さも薄いこともあるのかどうか、今日はとにもかくもアンコールだった。


最初のギターノイズにやられた。全身の毛が逆立って、体が止まったまま呆然と立ち尽くし、ただただ音を浴びた。ラリーズのカバーだと思った。ラリーズはがっつり聴いてわかっているわけでは無いのに、そう思った。歌がはじまると確認した。セットリストによると「造花の原野」とのこと。しかし音源越しで脳内に残る酷く荒んだ暴力的なノイズまみれではなく、荒々しくも制御/構築された美しいノイズだった。こういうのが聴きたかったのよ!と痺れた。そのまま受け継いでナガタさんのベースがドドドッとやってきて「break on through」、このカバー早く音源化してほしい。今日はギターの刃の重さは感じず、ボーカルのシャウトが誤魔化しではなく演奏と共に安定感があった。
客電点いても止まらないアンコールの拍手、もう1度登場。「ヴェルヴェッツにおけるsweet jane的な存在の曲?」とヤマジさんがナガタさんのほうを向いて言ってからの「sludge」。若かりし日の焦燥感を蓄えたまま深まり続ける演奏はやっぱりすごい。



さてアンコールから語ったというのも、本編はそこに至る長い導火線な印象だった。


定刻 17:45スタート、「it's late〜it's too late」で始まる演奏を聴きながらヨシノさん在籍時はラスト手前の鉄板だったなあと思いだし、でもあの頃とは違う音作りだからこそ初っ端に演奏する意義を感じた。続いての「hasty」「garden」も音の織り方が少し変わりつつさら〜と流れてしまい、むむスイッチが入らないなあと思っていたところに次曲のイントロ。あら、新曲かしら?と歌いはじめたところで驚いた。「no man break」だったから!えーーー!後半の展開は、ヒリヒリ切ない季節は過ぎてゆっくり柔らかく編み直した印象。新たな断片を作った時にno man breakにリメイクしようと思いついたのか、新曲に歌詞を付ける段階での模索的なものなのか? 人気の高い歌ものだけにこのアレンジは興味深い。「シン・ノーマンブレイク」(シン〜て言いたいだけ)はどう変貌していくのだろうか。


「粘膜の宇宙」「hollowgallow」と好きな曲が続いたものの、グッと入り込む訴求力が弱くスタジオでの演奏を見ている気持ちが拭えなかった。彼らのパーソナリティゆえもあるけど観客に伝える感が薄いこの感じ、ああLABOに私たちはいるってことかなと、久しぶりの「13階段への荒野」を聴きながら、今彼らはどんな荒野を進んでいるのだろうかと思い、最後のギターはやけにsoonぽい音で心躍った。


キッカリ1時間演奏して休憩、第2部は出だしからして音の感覚が変わった!(そして1部では長髪にキャスケットのナカニシさんが、帽子を脱いで髪をオールバックにして後ろでひとまとめというヘアスタイルの変化を魅せて驚いた!)

音作りが現在進行形のフォーマットになった印象で「eva」と「perverse」「traffic」(新曲)の間に「slower(flower not needed)」「nowhere to go」を挟んだのちの、「studio」は印象的。「3人でstudioで合わせた曲聴かせてやってもイイんだぜ」って歌詞の若さゆえのアガきも今聴くと妙に沁みる。「イイんだぜ」ってウネるトコにグッと来るよねえ。当時はめちゃくちゃ違和感あった曲だけど笑、あの頃も今も変わらない彼らの生活を感じさせつつもささくれてはいなくて、遠い過去を優しくなだめるような響きを残したのだった。
ササセッズめでロッキンな「9souls」に続いて「she cracked」・・・・・!!!ぎゃー!!う!れ!し!い! ようやく熱が上がったところでささーっと本編終了、ええええええ、不完全燃焼。。。というよりも、この瞬間で燃え尽きるのではなく、まだまだ続いていくんだぜといったところだろうか。全体的にはギターを全面に出し過ぎず、歪んでいるのに整っていて、若い頃には出来ない音だった。



dipでまだまだやれるしやりたい事が沢山あると感じられたライブだったので良かった。この快楽と高揚感は他では得られないんだろうなと思った。」 という、ライブ後TWでのヤマジさんの言葉がすべてなんだろう。新曲の方が断然カッコイイし、旧曲も今の視点で更新されていく。終わらない、永遠に回転し続ける。


来年はライブでいろんなところを回ったりレコーディングをしたいとのこと。活動の場が広がるヤマジさんだけど、いっときでもdipに集中して3人の音を深めて広げてほしいな。ファンサービスもいらないし、時代に合わせなくてもいいけど、地下の工房ではなく門扉を開いて、年齢や性別、住む街に限らず気軽に見れるようにして欲しいと切に願っているのです。レジェンドの人たちとだけではなく、若いけど音楽性合いそうなバンドも増えてきたはずだし、積極的に対バンして化学反応見たいなあ。ファンとしてもこれくらいじゃ簡単にカッコイイって盛り上がらないんだからッと!・・・と図々しくて一方的でイキがった声を虚空へ残す気持ちをお許しください。。。

M2〜時代が生み出した希望の建築

環八沿いに建つ“異様”な風貌の建築物を見かけた人は「あれは何?」と思い、東京メモリードホールという斎場だと知ると「なるほど」と納得することだろう。しかし元から斎場として建築されたのではない。竣工1991年、自動車メーカー マツダの東京拠点としてオープンした、隈研吾設計「M2」。建築に関心がある人にはニヤリネタとして輝き続ける“名作”。

バブル期の日本が生み出したイオニア式柱頭
「M2」とは「第2のMAZDA」の意。自動車メーカー・マツダが1991年に新商品企画開発の拠点として設立した。そこではマツダの技術者が常駐し、訪れるユーザーと開発中の車両を肴にコミュニケーションを図っていた。秘密主義的な自動車開発に風穴を開けようとする画期的な試みだったのだ。
当時のマツダ担当者はそのシンボルたるビルの設計にあたり、「普通の建物だと不況になったらすぐに売却されてしまう」と考えた。そこで「M2持続のためにも、簡単に売却されないほどグウの音も出ないデザインを」と、気鋭の若手だった隈にリクエストした。

M2ビル×隈研吾 ―「建設HR」が後世に語り継ぎたい名建築【2】


近くにある歩道橋から見上げながら「中を見たいなー」と思いつつも斎場だしな…と諦めていたけれど、見学会開催のお知らせに速攻参加希望を出したのでした。\ やったー /


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外観。theポストモダン建築。


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中に入るとエントランスホールはさほど広くなく、エレベーターを見せる構造がバブルな華やかさを感じさせる。このエレベーターホールが外観で言うと「ギリシャ建築(イオニア式)の円柱部分」とのこと。


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コンクリート打ちっぱなしの回廊がなんか、もう、ねえ…


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ほらこの感じ・・・・・(赤面)

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車のショールームということもあるけど、車止めの動線も凝ってる。

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きゃー!この雰囲気……

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細部にまで至る装飾の数々。


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大理石の1枚テーブル、どーーーん。
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この曲線……


マツダ時代は商談に使っていたそう。今は斎場なので打ち合わせスペースに・・・


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この壁面は元は吹き抜け。1階のショールームが見えるので、商談しながら車を見る形になっていたそう。


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ここが上から見下ろせた1階ショールーム。今は式場…… 

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天井の円形ライトの左側壁面が、さっきの商談スペースになる。ちなみにこの円形ライトも当時のままで、球交換はスイッチを押すと器具自体が下に降りるようになっているのだという。

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建設当時のものが多いけれど、この照明は斎場になるときに設置したもの。後付けとは思えないデザイン。改装するときにちゃんと合うものを探した事がすごい。


トイレの設備には時代感が反映されやすいので確認ポイント。
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洗面器の水栓は足元のボタンを押すと水が出る仕様。センサー式水栓は当時既に出回っていたと思うけど、何故この方式にしたのだろう。

男性トイレが変わっているというので入らせていただいた(!)
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便器が無くて、センサー式でシャワーのように上部から水が出て洗浄されるそうです……。使いにくそう・・・。建設当時はカッコよかった?のかもだけど、今は斎場なので高齢者も多く問い合わせ殺到だそうな。それでも改装しないのはエライですね・・・

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今は普通のエレベーターだけど、当時は車を運べる大型エレベーターで、地下の車両置場と修理工場は霊安室と祭壇用花の準備室になっていました。なるほどな使い方。
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修理工場の名残が。


当時はイタリアンレストランや洋書店が併設されていたそうで、90年というバブルな世界観が浮かんできて泣ける。2002年に売却された先が葬儀場なのが驚きだけど、ギリシャ神殿の外観から内装・用途に至るまで見事に生かされていることに更に驚かされます。荘厳な見た目は斎場としてのイメージに引き継がれ、装飾にはほとんど手を加えずに椅子や照明など足すものは元の雰囲気に合わせたものをセレクトし、ショールームやレストラン部分は式場や控え室へ、地下は霊安室へ・・・。よくぞあなた方が買い取ってくださったとしか思えません。

設計の隈研吾氏の若かりし情熱と当時の時代の匂いがムンムンに詰まったこの建築。

www.tozai-as.or.jp


結果的にド派手すぎて建築界では叩かれてしまい、目立った動きが見えなくなるものの、木材を多用した建築で再び注目を集めるようになり、書籍での発信も増え、歌舞伎座そして国立競技場と一躍日本を代表するスター建築家になりました。今回伺った話によると、コミュニケーション能力がすごい方のようで、これはどんな職業においても重要な能力ではあるけれど、こと建築家はオレのデザインを推し進めながらクライアントや周囲と調整し、部下を動かす能力が凄まじく必要だよな、きっと。


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円柱が折れたモチーフ。
興味深いのが建物裏から見ると
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のっぺりしてて何にも無いのです。装飾は表面のみ!
そういえば国立競技場も外から見た限り、表面以外のところは予算削ったんだなあって仕上がりになってたの思い出したよ。


私は散歩好きが建築好きになったのですが、常日頃思うのは、建築物は人々の意識を作り出すということ。その街に暮らし、通り過ぎる人々が目にすることで、無意識にその街の意識を形成してしまう。視覚的情報というのはとても大きい。だから建物だけを考えてはダメで、本来はその街そのものを考えて設計すべきなのでは無いだろうか。そう考えると、環八という交通量が非常に大きく行き交うだけの、街としての印象が皆無の場所にこのようなモニュメント的建築があるのはなるほどなあと思わせられる。


今回見学会ということで説明を伺ったり、参加者が発する言葉に気づきを得ることも多く、ただ自分で眺めるのとは異なる発見や納得の連続でとても楽しかったです。