今朝の秋

NHKアーカイブにて。テレビ欄に「脚本・山田太一、出演・笠智衆杉村春子杉浦直樹倍賞美津子樹木希林」ってあるからこりゃ見なきゃー!と。87年11月放送作品。

蓼科の山荘で隠居生活を送っていた老人(笠智衆)は、ある日、一人息子(杉浦直樹)が、がんに侵されて余命いくばくもないことを知る。息子の入院する病院に駆けつけるが、気の利いた言葉も見つからず迷う中、二十年前に別れた妻(杉村春子)と再会する。

この芸達者な面々の演技、深町幸男による演出と武満徹による音楽は水を湛えるように穏やかに時に緊張感を持って、決して豪快に溢れさせることなく、淡々と丹念に物語を紡いでいた。
表情、間、時折入り込む風景がぽーんとこころに響いてくる。
蓼科の秋の朝みたいに、しゃんとした空気が漂っていた。残像がいまも消えずに私のなかにあるのです。