リトル・チルドレン

ゆっくりと流れるように映し出されるアメリカ郊外の美しい邸宅が続く美しい町並み。
ペイルピンクやペイルブルーの淡い色彩。
夏の強烈な陽射しはフィルターを通したようにやわらかく角度を変えてこちらを射抜く。
くらくらくらり。どこか奇妙な空気を感じるのは何故だろう。
(私はつくづくこうゆうのに弱い)
昼下がりの公園、主婦たちの噂話、スケボー、アメリカンフットボール、、、
持ち駒をすべて出したかのような「the アメリカの世界」が次々と。
でも「この街」以外は世界など存在していないような。テーマパークみたいな街。
そこに住む人々もまた、キャラクター人形のような生き方を見せている。
そんななかで延々と続くだらりとゆるい時間がドラマチックに色めいて暴走したところに
ふっ、と時間が止まったあの瞬間。
「借り物の空っぽの日々」を生きてきた彼らが「ほんとうに」息をした瞬間だった。
風景の映し出し方が素晴らしく、状景となって巧みに人物に繋がっていて、見事だった。
夏という季節が引き起こす出来事というのも、また。