ぎゃー！すっごくヨカッタ！！…ってアナタ毎回言ってるよね？とツッコまれそうですが、いやいやきょうは、ほんとにねえ、ヨカッタなあーーーー。場があって、音が空間を作り出し、空間が音を作り出し、盛り上がる観客の熱が音を作り出し、赤い熱い音空間が生まれていた。ええ、長々と語りますよ。
1曲目は「粘膜の宇宙」、前回と同様ながらもイントロから響き方が違っていて、際立って聴こえてくる音がドクンドクンと鳴る心臓のようで、自分の心臓の音と重なって彷徨って……スッと堕ちていった。
音がクッキリとしてる！そして生々しい！今日の突き刺さり方は違うのだー。
ベースのくゆるぎながら踏みしめるキレが良くて、ドラムの重さを感じさせずに真っ直ぐに落ちる響きがキレイで、そこにギターが豊かに微細に表情を変えて広がっていく。3つの音が絡みあうというよりも、それぞれがそれぞれの位置で立ちながらも1つの音になっていて、最初っから心の内がいい方向にアワアワしてしまった。
続いて「FASTER,FASTER」もガツガツと音が溢れだし、カッコイイ！「先輩に捧げます」と切り出した「She Broke My Heart's Edge」などハードエッジな選曲を固めることで、その後の「GARDEN」「DELAY」のような曲も（個人的な）感傷に流されることがなかった。ベースとドラムでつくるしっかとした土壌にギターの強靭な嵐が渦を巻く音の構築を楽しんだ。
dipはどうしてもギターを主軸に捉えてしまいがちなのだけど、今日はとにかくベースラインが楽しかったなあ。私、顔がにまにましてたハズ。ベースが低音域で捻れた階段をタタタタタタとぶれることなく攻め歩く足音に誘われる。そこへギターが低いところから高いところまで自由闊達自在に走り回り、強く且つ滑らかに”ササクレテ”吐き出される唄声にこころ震わされ、その真中でドラムがスタスタスタッと杭を打つ。ブルッとして、ああッそうそうこのドラムの入り方と硬質な感触がいいのだなあと、ズガンッと打たれるその気持ちよさ。
それを更に実感したのは「bend your head」、唄が終わるところで緩やかにギターの音色が優しくなって、徐々にベースが高まり”唄うように”奏でられ、ハッとして、そこへギターとドラムとが重なりあった瞬間、私の中のスイッチが入った。なんかもう、わーわーわーと身震いしてしまった。こういうスイッチの入り方は今までなかったなあ。はあぁぁ、この曲はほんとに素晴らしいなあ…。更新されて新たな良さが生まれてた。続いて「she cracked」の疾風炸裂 〜 「sludge」のイントロへの繋がりはめちゃめちゃカッコヨカッタ！！！燃える！！
今日はもったりさ（これは前回の私の勝手な思い込みですが）が一掃されて、流れることなくシャキッと揃ってた。ひとつひとつが同じ質量で存在し、それがただぶつかり合うのではなく、一律にもならず、個を持ちながら「三位一体」な音となって生み出されていく。
逞しくて、でも押し付けがましい強さではなく、胸を締め付けられるよな繊細さも持ち、クールで、でも熱くて。そんな相反する言葉が同時に浮かんでくる。それが私にとってのdipの魅力であり、今日はあらゆる面で見事に表現され得たliveだった。あれも聴きたいこれも聴きたい、もっと長尺で見たいなあー。
次は7月2日（土）、三軒茶屋Heaven's doorの3マンです。是非！
