眠り姫

鮮烈な映画だった。酷く透明で澄んでいるのによく見えず、ゆるりぬるりと手をすり抜けていくのにスパッと傷跡を残す、木々の枝は群青色の闇を覆う掌、毛細血管が滲む、手首からじわじわと橙色の光、その美しさはいったいどこから生まれたのだろう。
肩を脱臼したままぽーんぽーんと地球の反対側へ向けてボールを放る、ふらふらとした軌道をどうにもすることが出来ず、ぐるりとまわって帰ってきたボールがことんと落ちていく、眩しくて見えないからもういちど見たいと思う、永遠に終わらない旋回。声の残り香。
だいぶ前に小さいチラシを見てから情報をいれたくなくてなるべくこの映画の記事から目をそらしていたのだけど、うん、よかった。