ごはん

会社の23歳の子の、肌や服装を若いなあ初々しいなあと目を細めて眺めてしまう私はおばさんなわけですが、彼女のお昼ごはんがお菓子に野菜ジュースばかりなので、それもまた若さゆえなのだなあとおばさん視線をおくる私なのである。
そんな彼女がこのごろお弁当をつくってくるようになった。
幼稚園児用の小さなお弁当箱を開けると、ごはんが「ぶた」のかたちをしていた。さくらでんぷが混ぜられたピンク色のごはんは丸く、ほっぺ部分に丸く切られたハム、海苔をちいさーく切って鼻の穴や目に、、、見事に「ブタさん」であった。
次の日は「ひよこ」、これはたまごそぼろを混ぜたごはんに以下略、「犬」は鶏そぼろを混ぜたごはんに以下略、そして「トトロ」、これはごはんを上手くあのカタチにつくり、その上に海苔を見事に切り貼りしてあって誰が見ても「トトロ」だった。。。
これがいわゆる「キャラ弁」というものなのね。カラフルにキャラクター化しているご飯の、その隙間を埋めるようにプチトマトと(冷凍と思われる)から揚げが詰められていて、朝1時間かけてつくるらしい。(つくりかたはネットに挙がっているのを参考にしているらしい。)それを「かわいいー」と言って携帯で写真を撮るほかの子たち。

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私は「キャラ弁」というものにはどうにも違和感がある。ごはんを食べるということが主軸ではないお弁当。料理を目で味わうという言い方があるけどそれとも違うなあ。
ご飯を見て驚くというよりも、食べて驚きたいな。この時期ならば菜の花や蕗といった春野菜のじわっとした苦味、そのほか甘み、酸味、辛味、食材やわずかの調味料から引き出される穏やかな味わい、素材の併せ方による食感の違い、出汁のすうっと広がる味わい、それらを舌で感じ驚きゆっくりと味わいたい。
日本料理やフランス料理など、食器も含めた料理の見た目の美しさがおいしさのひとつというものもある。でもあれは料理人がつくるハレの料理であって日々の営みではないのだから。
家庭料理にだって見た目は大切で、素敵な器に盛られた料理はもっとずっと美味しく見えることだろう。でも「作家物」や「北欧」や「民芸」の器を「買う私」が目的になってはよろしくない。というのはついでの話。
私が日々持っていくお弁当は適当極まりないもので、夕ご飯もいつも適当で名も無いもので、なのにこんなこと偉そうにいう筋じゃあないんだけど。
さっきの「キャラ弁」、とどめは「バイキンマン」!ホントに見た目バイキンマンなんだけど、、ごはんがバイキンマンて。。うーむ。