冷たい水

今週は夏の終わりを実感させる日々だった。花火の華やかなきらめきとともに飛んでった夏。この何年か、暴力的な暑さで存在感を見せつけ続けたと思うといきなりいなくなる。若い頃の恋みたいでやあねえ。(えー)
今日は帰りに吉祥寺へ。夜ご飯にはカレー。日が落ち行くなか引き戸を開け放した狭い店内は心地よく、ぺろりとカレーを平らげた。もったりとやわらかな辛みの味だったので、暑さを吹き飛ばすというよりは夏バテのからだにゆっくり沁みていく感じ。


でバウスシアターでレイトショー。オリヴィエ・アサイヤスの「冷たい水」。日本ではようやくの劇場初公開で勿論私も初めて見ることが出来た。
若い映画だった。既に過ぎ去った日々がそこにあった。
若さ故の青はイガイガとささくれ立ち、その粗野で無鉄砲な軌道は見ていられない痛みがあるのだけど目が離せなく見届けていたくなる。そんな若さにはいつだってロックミュージックが鳴り続けてる。爆音上映のおかげか、70年代ロックの衝動が耳に際立ち目に映る少年少女の衝動と更にリンクして輝いてた。ラストシーンのあの一瞬もなお一層ぽっかりと滑り落ちたのだろう。
ヴィルジニー・ルドワイヤンにとって女優人生を決定づけた作品であることは間違えなく、その後「カップルズ」「シングル・ガール」(こちらは共に公開時見たけども)で見た彼女のキリリと前を見据える眼差しはアサイヤスにより引き出されたのだなあ。(故にその後なかなか役どころが微妙で何ともかんとも)にしてもアサイヤスはこういうヒリヒリとした孤独を抱える女を描くのがうまいなあ。やあな男ねえ。(えー)