「ライト・[イン]サイト―拡張する光,変容する知覚」

観客自らが光を介して「見ること,視覚,観察(sight)」の意味を問い直し,それによって新たな「洞察(insight)」を獲得していく契機となるでしょう.

「光」を題材にした作品群なんてゼッタイ好きだーっとドキドキしながらICCへ。ニクいタイトルは神々しくてワタシには申し訳ないス…。
インゴ・ギュンター「サンキュウ―インストゥルメント」、強烈な光が作り出した自分の影を発見したあの瞬間ったら!子供のころの工作のようにはしゃぎながら無邪気に遊んだ後でふと気づいてぞっとする、写真でしか見たことの無いヒロシマに刻まれた影。
ニナ・フィッシャー&マロアン・エル・ザニ「オーラ・リサーチ」シリーズ、ニーチェが洗礼を受けた教会の内部を撮影した写真の横には同じアングルで撮影したキルリアン写真(!)、十字架があると思われる位置に浮かぶぼわんと青いひかりに涙が出そうになる。
アンソニー・マッコール「You and I, Horizontal」、暗闇の空間いっぱいに浮かぶ光の彫刻、視覚と触覚で感じる光、私は光のなかに入っていき光の一部となって溶けてゆく。

この展示で「光」をからだからこころから全部、自分の中のあらゆる感覚によって認識し吸収し体内に光が蓄積されたのを感じます。新たな「洞察(insight)」を獲得出来たとはとても言いがたいけれど、ひかりをいつも感じそのはじっことその向こうをきちんと見たいという思いに強度と深度が加わったように思うのです。
ICCで開催される展示は毎度驚きに満ちていて物事を新しい角度で見せてくれるので楽しいです。手前に流れる高速道路のラインがカッコよくて行く度にうっとりと見上げながらビル内に入るのです。