「U-Tsu-Wa/うつわ― ルーシー・リィー、ジェニファー・リー、エルンスト・ガンペール」

ルーシー・リーの陶磁器たち

ルーシー・リーの陶磁器たち

ルーシー・リー*1はかねてから大好きな作家でまとまって見るのは地味に行われたニューオータニ美術館での展覧会以来です。(陶芸ギャラリーには置いてあったりするからたまに見る機会はあった)
このタイミングで今回の展示(しかも今度は新美術館で大々的に個展!)というのは昨今の「陶芸作家による器人気」に由るのかしらねえとほっこり女子の様子を冷めた目で見る私でありますが(すみませんね…)、会場の21_21 DESIGN SIGHTディレクターである三宅一生が89年に開催された(多分日本で初めての)「ルーシー・リー」展を企画したとのことで遂に、といったところなのでしょうか。ポスターなどのディレクション杉浦康平が手掛けているのもナルホド。
the安藤忠雄なコンクリートの建物の地下に下りるとひんやりとした空気が漂っていて、その空気に寄り添うように作品が展示されています。ルーシー・リーの作品はフロアに大きな水盤を張り、丸いガラス瓶をひきつめたような台座に点在して浮かべてありました。見下ろして眺めるといった具合。器が呼吸しているのを感じられるようで嬉しいけれど、遠いのです。研ぎすまされたフォルムや繊細な色合いを鑑賞することはとても無理。
ジェニファー・リーのアフリカの土器を洗練させたような作品やエルンスト・ガンペールの木の神様が宿ったような作品も素敵でしたが、安藤忠雄による展示構成は自身の設計による建物を活かすためにあるようで、器そのものよりもそういう空間にいたという印象しか残りませんでした。

そのあと銀座の路地を通り抜けていたら偶然ルーシー・リーの作品を置いてある陶芸画廊を見つけ、立ち寄りました。淡く優しいピンクの花瓶はごつっとしたかたちをしていつつ凛とした品があり美しく、ようやく心に滲んできました。
この画廊はまだ出来たばかりで今後の展示のDMをいただこうと連絡先を書く際に「ここつかってください」とひょいっとルーシー・リーの花瓶を持ち上げて場を開けてくださり、驚きとともにああーそうだよなあこういうことだよなあ!って嬉しくなりました。

*1:表題ではルーシー・"リィー"なんだけど