新しい店は懐かしい店

江の電を途中下車して入った自家焙煎"かうひい"屋さん。

かつて吉祥寺にあったけれど突然閉店、鎌倉に移転されたのです。薄暗かったあの店とは違う柔らかな光が感じられる庭付きの小さなおうち。室内にはたくさんのJAZZのレコードがあり、真空管スピーカがあり、年季の入った本(美術系を中心に、エクスファイアなどの雑誌なども)が並び、ご主人が若いころから傍らに置き大事にされてきたのであろうこれらは吉祥寺のころのままで、懐かしくて嬉しくなりました。
ネルドリップで淹れられたニガアマな珈琲も変わらず美味しかった。庭の緑を眺めながらふう、と息をつく。他のテーブルの女性が頼んでいたのは蜂蜜トースト、あーそうそう、美味しいんだよねえ!
帰りがけに、吉祥寺のときによく行っていた話をすると喜んでくださりながらも、「突然辞めてしまって申し訳なかったです」と謝ってくださって、いえいえとんでもないですよ!こちらの店もとても素敵です、などとしばしお話をしました。思えばご主人とお話したの初めてでした。



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このあとふらふら歩いて入ったのは「LONG TRACK FOODS」。スタイリストの岡尾美代子さんが始めた店、ということよりも私には驚いたことがありました。共同経営者である他のお二人が、かつて通った店である「ライス&ピース」(麻布のデリ)を、「ハックルベリー」(赤坂の本屋)を、経営されていた方だとは!どちらも街の外れにあって(大江戸線もなかったから麻布は陸の孤島だった!)、「外国の街で見たこういう店をやりたいんだ」っていう思いが詰まっていて、散歩ついでに楽しみに立ち寄るような店でした。
私がそれぞれ別に好きだった存在の3人が、こうして一緒にひとつの店をやっていらっしゃるということの「繋がり」が不思議で、嬉しい。海外のどこかにありそうな店構えが共通してたり。既に名のある仕事をされている方が今改めて店を始めた原動力は、ごくシンプルな「憧れ」なのではないかしら。それって素敵だなあ。


店が「店主そのもの」であるならば、場所や名前が変わったとしても変わらず在り続けるのだなと思います。


このあとはまた海を見たり、暑くてかなわん!とアイスチャイ飲んだり。汗ダラダラ。今年最後の夏の日をぎゅうぎゅうに味わって、東京に帰りました。