桜島と共に

滞在4日目、今日は鹿児島の街に"触れた"一日でした。

その前の日。霧島から戻ってきて降り立った、鹿児島駅の向こうにフッと表れたこの景色には、胸をドンッと打ち抜かれました。

なだらかな稜線と、右肩から吐く煙。その雄大さがくっきりと見える。これが桜島なんだ…。
そして天気予報では灰が飛ぶ方向がわかるように「桜島の風向き」が伝えられ、街角のこんな様子に鹿児島へ来たことを実感しました。

「灰が入ってくるから」開放厳禁。

「ゴミ捨てに灰もあるのか!」と驚いて撮った一枚。桜島について調べているなかで知りましたが、鹿児島市では、一定以上の降灰が確認されると役所から家庭に「克灰袋」なるものが配布されるそうで、家庭では降灰を克灰袋にいれ「降灰指定置き場」に置くと、役所が回収するとのこと。桜島の降灰は鹿児島の人々の生活とともにあることに気づかされます。


さて、今日は桜島へ向かいました。鹿児島をゆっくり回るのは今日で最後です。
島、といってもフェリーでぷらっと、たった15分で着いてしまう。なんと運賃150円!しかも24時間運行!ビックリ。薩摩半島とは地続きといってもいいくらいの場所なんだなあと悠長に驚いていましたが、昭和60年の噴火の際、万が一のために24時間運航にして欲しいとの住民希望によるものだそう。


ターミナルの真向かいでレンタサイクルをお借りして、軽く回ります。旅先で乗る自転車って、移動手段というよりも「乗ること自体が目的」になるなあ。見える風景や皮膚に感じる風とか、徒歩や車、電車とは違う「視界と速度」を得ることができる。

桜島大根型の外灯がかわいい。

今日はなんとロックフェスでした。ゴーカなメンツだあ。確かに、フェリーにロックTシャツを着た若者が多かったの。
紫外線の恐怖に怯えながら、ギーコギーコとママチャリを漕いで、展望台に到着!

眼下には錦江湾鹿児島市街地が広がり、背を向けると

御岳。少しガスってるけど、手前に広がるゴリゴリとした溶岩の向こうに迫る様に圧倒させられます。これが、まさに鹿児島のシンボル。

周囲にはゴロゴロと溶岩が広がり、凄まじさが伝わります。

頻繁に噴火を繰り返してきたため、島内を覆う溶岩はその年代ごとに分布が異なり、この辺りに大正時代の噴火の際の溶岩とのこと。噴出年代の異なる溶岩原に時代ごとに特徴的な植物群が分布しているそう。
某コンサート記念の立派なモニュメントも出来たけれど、

自然がつくり出す造形美には叶わない。


海の際まで、溶岩ゴロゴロ。
海岸沿いの遊歩道を突っ走って、自然の脅威と美しさに触れた、楽しいサイクリングでありました。


どんなに街が変わったとしても、ずっと変わらず鎮座し続ける桜島
見るだけならば美しいけれど、実際には降灰に悩まされてきた歴史があるわけです。ではどう向かい合ってきたかということを考えると、先述の「克灰袋」。ネーミングについての「以前は『降灰袋』と書かれていたが、克服するという願いから現在は『克灰袋』と書かれている」という話に、鹿児島の人々が如何に受け入れているのかが伺えるのではないでしょうか。