朝生愛 at penguinhouse

日本のフィメール・ボーカルの2トップ(私的に)のライブが2日間続くなんて、素敵な年末となりました。田中亜矢がトラディショナル・フォークとしたら、朝生愛はアシッド・フォーク。
朝生愛のライブは至近距離で何度も見ているのに、そのたびに顔の印象が違っていて、ライブ前に物販にいたのに気づきませんでした…。
まずはソロで。ピンッと張り詰めた冷たい空気、零れ落ちるように呟くように唄われて、ホントに静止する間があるくらい。危うい不安定な様はキリキリと私の心に響いてきて、頭の中は白く柔らかな光に包まれる。ぼわあんと遠い昔の記憶みたいな画が浮かんできて、私はそのなかにひとり漂う。かつて住んでいた部屋での日々の感触とオーバーラップする。
数曲であっという間に終了して、しばしぼーっとしていたらバンドセットに変わりました。華奢でかわいらしい彼女のバックには熟練のツワモノの方々が…。2曲目、私の好きな曲「ティテテ」。出始めはソロと変わらず不安定な空気のまま、ポツリポツリと朝生さんが唄っていたところに、ギュイーン!とバックメンバーの演奏が加わった!弱々しいコドクな世界が、力強い仲間を得て、一気に劇的に変わる…。
と、私の鼻がヒクッと熱くなって目頭に涙が零れてきたのです。えっ?と思うと同時にその涙はまさにボロボロと落ちて、止まらない。えええー? ホントに後から後から零れてくるし鼻水も出てきたし、何が何だか動揺しながらも、体内がスルスルと浄化していくようでした。
白い光の空間から、からだをぽんっと外へ出されたみたい。変わらず不安定なサイケデリアなのだけども、絶対的な安心感に包まれて、「もう大丈夫だよ」と言ってもらえたような、なんだかよくわからない気持ちになって、もはやコントロール不能になっていました。ライブで泣いたことは初めて。しかも大泣き。映画でだってこういう泣き方をした事ないと思う。
これは感動したとかよくある「自分の心情にハマった」という類ではなくって、もっともっと根本の部分で私の琴線に触れたのではないかなあ。
今日のこの空間を創り出す彼女たちの演奏を、きゅっと見守るように観客全てが聴き入っていた。素晴らしい演奏会でした。