蘇りの血


今年&テン年代?一本目の映画館鑑賞作品は、コチラ。といちいち書きたくなるけど、見たい映画テンコ盛りの今、これを選んだのはいかがなものかしらん? 私にとっては「豊田監督復活作品」という言葉に「いろんな意味を」含みたくなるわけで、うん、私らしい選択なのである。
で、良くも悪くも「豊田利晃監督作」、変わらない「まんま」でありました。監督の人柄が濃厚に出ている「夢」のような。
ワタクシごときがエラソーな言い方をしてしまうと、「映画的にどうなの?」というトコロはどうしたってある。やっぱり女を描くことに思い入れ無いなあということもある。でもそれって要するに、今までの作品と変わりないってことなわけで。オープニングの「ココロ持っていかれ感」も相変わらず、カッコよかった。

私は豊田監督作品を見る度に「男がつくった映画だなあ」と思う。そういう作風は自分好みじゃないハズなのに、何故か見ちゃう。惹かれてしまう。それは「感情そのままの」音楽のセレクト*1もさることながら、監督自身に魅力があるからじゃないのかなあ。
「ニッポンのオットコ道」をわかりやすく辿りつつ、いつもどこかに笑いがある。「愛嬌」のようなもの。そこに監督の人柄が濃厚に出ているのだと感じられるのです。
時折「映像が走るリズム」がおかしくなる。ツッコミしたくなるほどのソレは、「そういうふうにしか撮れない」切実さであって、痛いくらいだ。失礼な言い方を敢えてしてしまうと、観客のことを考えるよりも「自身のココロに忠実」で、途中こちらを迷い気味にさせるところは、dipと似てるーとかなんとか思うのはコジツケかしら*2コジツケですよねすみません*3
ところで、板尾さん*4マメ山田さんはいつもオイシイところを持っていくねえ。2人が出てるシーンは秀逸。達也さんの「按摩」はあのパワフルな高速ドラミングのようでもあり、彫塑をしているみたいでもあったなあ。彼の姿は「静寂なのに野性的」で、それは濃い緑の原生林そのものでした。赤の血との補色具合もよし。
音が人格を持っているようでもあったので、もっとデカく鳴らしててもよかったなあと思いつつ、エンドロールの最後。「監督・脚本 豊田利晃」に、蘇生しましたね、おかえりなさい。と心で声を掛けたのでした。
ドクドクと脈打つ血潮のように高ぶるビートへの渇望を増して、私はシネセゾンに向かうのでありました。(続きは「"THEE MOVIE" -LAST HEAVEN 031011-」へ…!)

*1:TWIN TAIL、達也さんのドカドカドラムに勝井っち(馴れ馴れしくすみません、、、)の流麗なヴァイオリンが合うのかなあと危惧してたけど、これがスバラシイ。ヨシノさん在籍時のdはこうなる予定だったんじゃ?と思ったり…は超余談。なんでもかんでもすみません。。。

*2:でもねでもね、dipのツアードキュメンタリー撮ってほしいの…!「イヤー・オブ・ザ・ホース」みたいなやつ。

*3:そもそも「豊田監督の映像×音」というのは、ヤマジの別バンドpharmacyとのライブシネマ「戦争と青春」があるんですよね。見れなかったから見たいのだー。としつこいですね。

*4:インタビューによると、「ひとりでロケ地の青森(の奥地)まで来てください」と監督から「航空券」と「旅のしおり」が送られてきたそう。ん、いいはなしだ。