雑感

あのときが異常だったんだよな、CDの販売数。
1996年に「今の日本のユースカルチャーが音楽を中心に回って、若い連中が皆、音楽に夢中なような言い方されるけど、それは違う。好きな気分になっているんだよ。」って語った灰野敬二*1はさすがに鋭かった。
CD販売はビジネスになんてならないんだから、本当に音楽が好きな人にはいい状況なんだよね、サーストンがいうように*2
ただやっぱり「顔」がある店がなくなるのは哀しい。HMV渋谷の場合は旧店舗の印象が強くて、もうずっといっていなかったという人も多いと思う。太田さんという目利きを失って、店舗が変わって、何処でも同じ商品展開になってしまった。オススメ文も本社一括ってテンプレートで、「顔」が見えなくたってしまった。そう感じるようになってしばらく足を運んですらなかったけれど、数年前から3階の洋楽売り場はオモシロイ棚作りをしているなあと思うようになって、再び通うのが楽しくなってた。
確かに経済状況は良くないし、ネットのほうが楽に買えるんだし、「リアル店舗」にこだわるなんておかしな話かもしれない。けれど人は街に住み、街で生きるのだから、不必要なわけはないでしょう?街角で不意に出会う猫やカレーのニオイにほっとするように、店に入って不意にズドンと振り落ちてくる音にシビレル瞬間や目に入るジャケにズキンとくる瞬間こそが、音に出会う醍醐味じゃない?そしてそれに対して正当にお金を支払うことで、モノが「私のモノ」になるのだと思う。
HMVで「こんなにいい音楽があるんだよ」って教えてくださった方々が、何処か違う場所で活躍できますよう。
それとHMVでもうずっと買っていない人が、閉店セールだからって群がって買い占めるのはほんとうにやめてほしい。


それにしても渋谷という街には何が残るのだろう。「コギャル文化」が生まれて以降、それがビジネスになって、メチャクチャになってしまったように見えてならないんだな。