スプリング・フィーバー

見て以来気がつけばこの映画のことを考えている。画面から漂う「どうしようも行き場のない」感情がヒリヒリとわたしのこころを刺したまま、その痛みがまだ消えないみたいだ。春のザワザワした落ち着かない空気、冷たさの中にほの暗く浮かび上がる微熱、ザラリとした色鈍い色、どうしたらいいんだ?と鬱々と問いを抱えながら答えを出すことが出来ず、拒否されて、がんじがらめになりながらも、それでも求め続け、彷徨っている。男の姿はそのまま監督ロウ・イエの映画製作への欲求に繋がっているようだった。
ただ、すごく良かったとはいいがたい”モヤモヤさ”が残っていて、うむ何かが足りない。それは生真面目さが優っているからかもなあと今は思っている。あえて引き合いにだすならば「ブエノスアイレス」でのトニー・レオンの白いブリーフとか、レスリー・チャンのすがりつくよなかわいい眼差しみたいな、そういうのが欲しかったのかもなあ。