熱と音響

minoru sato(m/s, SASW)氏の個展が開催されていたことを、終了した次の日に知りショック…。この間のICCの展示を含め氏の作品を今一度見たいなあと思っていたところだったのに。。。が、最後の最後に秋山徹次氏を迎えての「ライブレコーディング」があることを知り、暮れも押し迫ったなか行ってきた。素晴らしかったなあ。空気の変容。秋山氏の演奏はレコーディングされるから、からだを固くして、つくりだされる空気に影響を及ぼさないように聴いていたのだけど、からだのなかの芯が澄みながら溶けていくようで。硬質だけど軟質な、なんだろうあの音…。第2部のsato氏がつくりだす音の波動も存在感あるのに消えていく、けれどからだに着実に残っていく音だった。
sato氏の作品。ガラス製の理科実験用具みたいなものの左右にスピーカー。ガラスの中の水の温度を熱線で上昇させ、その際に空気に伝わる波がフィードバックして、音を生み出す。暖かければ速く、冷たければ遅くなる、音。15分くらいかけてゆっくりとじりじりと変化していく音の行方を耳をすまして感じる。そしてカタンッと音が変わったときの、からだ全体に降ってきた感覚は不思議な喜びに満ちていた。sato氏の「得体のしれない”熱”というもののおもしろさ」「我々は普段如何に小さな範囲の中で生活しているのか」という言葉が印象的だった。