スプリング・フィーバー

今日も暑くなりそうだ。窓ガラスの向こうで梅吹雪が舞っている。近所の木蓮は遂に!

白い花弁を広げ始めた。昨日一気にほころんだのだなあ。今年はちょっと早いかな?



副都心線渋谷駅へ。駅名看板に「代官山」と!おお〜。乗り入れは今週末からだけども、早くも変わっている。ほんとに繋がるんだねえ。東横線の渋谷駅ホームは独特の雰囲気があって好きなんだけどなあ。。。屋根のかたちと、むこうに歩道橋が見えるところが好きだった。これまでのんびりしたイメージのあった副都心線だけど(あくまでも私が乗ったときの話)、今後しばらくは相当混雑するのだろうなあ。それにしても乗り入れる路線が変わるってもんのすごい英断だと思うんだけど!利用者には「受け入れてくださーい」って唐突過ぎやしないのかなあ。楽になるって喜ぶ人の方が多いのかな。あんまりそうは思えないんだけども。


練馬区へ。ニラ焼きそば食べてからレコード屋さん行って、光が差し込むなかでアレコレ見てえいやと買って、ホクホクと外へ出る。界隈は住宅街で立派なお家が多い印象。白梅に紅梅が咲き、木蓮も咲いている。あったかくって、こんな日にお散歩、幸せだなあ。夕飯、鍋はさすがに終わりだね何にしようかね。

などとほへーっとしてたらいきなり、ぶわああっと冷たい突風が吹き荒れた。えええ?なに??
生暖かい空気に冷気が一気に差し込んで渦巻いて、なんなんだこれと思いながら西の空を見ると、靄が濁ったカーキ色になっていて上空もどんどん鈍くなってきた。砂埃を巻き上げながら吹き付ける冷たい強風は恐ろしいほどで、さっきまでの平和なひとときが何処かに行ってしまった。ちょうど一時半過ぎくらいの出来事。
辺りは駅や幹線道路のあいだで住宅しか無く、一時的に避難する場所も移動手段も無くて、ハンカチで顔を覆いながら一生懸命に歩いた。辺りを見る余裕なんて無かった。暴力的で不安定な風に乗って沈丁花が薫った。ふっ…と気持ちが何処かへ行ってしまうけれど、寒い。砂が痛い。からだが気持ちに勝ってしまった。

ゆっくり見るはずだった配水塔も通り過ぎてなんとか大きな通りに出ると、ぽつんと1軒のカフェを見つけて、逃げ込むように入った。なんだか不思議な店だったなあ。店内のインテリアはオシャレぽいのに散らかってたり、メニューもこだわってそうに見えて素っ気なくティーパックの紅茶が出てきた。「急に風が強くなりましたねえ」「歩いていたらいきなり冷たい風が吹いてきて…」などと言葉を交わす。しばし外を眺めながら、ふと「スプリング・フィーバー」、あるいは「三月のライオン」を思い出す。
次第に明るさが出てきたので会計を済ませると「またいつかご縁があったら寄ってくださいね」と店主さんが声をかけてくれた。


帰宅して玄関からお風呂へ直行、髪は相当砂を含んで固くなっていた。洗濯、掃除。
晩ご飯は結局いつもの鍋にした。買ったレコードを聴きながら、時折外の風の音が激しく聴こえてくる。
春风沉醉的晚上、春風に酔うような夜にはとてもならなかった。