蔵の街、目覚めゆく街、栃木市

ゴールデーンウィィィーークの前半戦。栃木へ行ってきました。これまで宇都宮市益子町へは日帰りで訪れたことがありますが、今回は栃木市鹿沼市、そして宇都宮市へ。東京からだと微妙な距離感で近いけれどチョット遠い街といったところでしょうか。電車はJRと東武を共に使うと散策に都合良かったです。



栃木市wikiによると「江戸時代には市内を流れる巴波川を利用した江戸との舟運と、朝廷から日光東照宮へと派遣された使者(例幣使)が通行した例幣使街道の宿場町として盛えた商都で、「小江戸」の別名を持つ」街です。また「戦災を免れたため、歴史的な寺院のほか、市街地には江戸時代から明治時代にかけての蔵や商家などが多く残って」います。少し歩いただけでもその歴史が伺えるように、蔵のある古く立派な家屋が多く建ち並んでいました。

もうすぐこどもの日ということで、鯉のぼりが川の上空を泳いでいます。川沿いに蔵が並び、その向かいから大通りへと古い商店が続いています。和菓子屋さんも多くて、店先には「柏餅」の貼り紙があります。

和と西洋が入り交じった、当時はモダンだったんだろうなという店舗が目立ちます。でも今は人通りも含めて「昭和30年代」で眠りについたまま時が止まった寂しさが感じられてしまう…。

真ん中のエメラルドグリーンのおうちは元病院。古いお医者さんは何処の街でもこういうクラシカルな造形多いケド、栃木では特に立派なつくりが多いように感じます。
右の建物には「万年筆病院」!そういえば万年筆ってお医者さんがカルテ書くとき使っただろうから昔は栄えたんじゃないだろか。
このレリーフ


「嘉右衛門町」は江戸時代に岡田嘉右衛門によって開拓された町で、江戸末期から明治期にかけては北関東有数の商業都市として栄えたようです。橋の欄干の素敵なこと!そのたもとには樹木と花に囲まれた素晴らしい庭と焦げ茶の質感やゆらゆらと輝く硝子窓が美しい邸宅があり、その並びの江戸時代から続く味噌の醸造元では歴史ある建物内で味噌田楽がいただけますが、定番の観光スポットとして機能しているようでした。

こっくりと濃厚な味噌田楽をペロッと食べると、近くに「焼きそば」と書かれた看板があり、気になって行ってみると小さな店先で「栃木名物 じゃがいも入り焼きそば」とあり、入ってみました。中からにっこりとしたオジサンが出てきて頼むと「つくっている間自由に飲んでねー」とカップを渡され、机のうえのインスタントコーヒーとポットを目で合図されたり、店内には木彫りのマスコットとか並んでて、「おじいちゃんちにきました」的でいい雰囲気です。鉄板でジャーッと作ってくれます。お待たせーと机に置かれた焼きそばはホントにじゃがいもがホクホク入っていて、ソースはウスターソースのさっぱりしてる味わい、おたふくとか甘くて濃厚なのに慣れていたから新鮮。じゃがいもは「お腹のたしに」って所なのでしょう、ほんとにお腹いっぱいになりました。


こうして栃木駅(JRと東武)から新栃木駅東武)までの間を歩いてみると、江戸時代に日光東照宮が出来たことで商業地域となり、人が集まり大きな街となった流れがとても感じられたし、威厳が感じられる建物が多く残されていました。でもところどころで、焼きそばのおっちゃんのような笑顔が垣間みれるのです。
夜に宇都宮市でごはんを食べた店のかたから、明治時代に鉄道を開通させるにあたり、栃木市は元々船の流通で栄えていたし、立派な白い蔵が煤で汚れてしまうと地元民に反対されたと伺い、ナルホド。。。先ほどの川沿いの街並みを含めて「蔵の町」として観光を盛り上げたいのだろうけれど、恐らく90年代に設置されたと思われる観光案内板が褪せていたり、界隈の店舗はかつての生活必需品が並びもう何十年も眠ったままだったりします。歴史がある=地主さんの力が強いのは必然で、いろいろ大変な問題はあることは勝手ながらに想像するのですが、地元民は減り、外からやってくる人々は観光バスでザザーッと来て写真撮ってすぐ移動なんて光景が浮かんでしまう。

そんな由緒ある歴史を背負った街はこの数年の流れに伴って、雑貨屋に飲食店など古い家屋をリノべーションして若い人が始めた店舗が増えて来ています。また歴史建造物蔵をミニシアターに変貌させる”歴史景観活用型”の映画祭が開催され、今年で第6回目となるようです。大通りに閉店した百貨店があったけれど、老朽化した市役所をここに移転するようです。

こんなかわいい地図をもらいました。これから若い世代が歴史を損なうことなく、いまの暮らしをこの街で地道につくりあげていくのだろうな。



新栃木駅から今市市へ。いわゆる地方都市の駅前通りは寂しさが漂う…と思いきや、街道から分かれた日光東照宮への参道として杉が植栽された並木道で空気が一転。鬱蒼とした雰囲気から江戸時代に人々が往来した様が立ち上がってくる…。とはいうもののアスファルトで覆われ車が激しく通り抜ける今となっては、根腐れを起こして保護が困難になっているようです。
 
スナックなどが並ぶ通りの奥を進むと…珈琲屋。不思議な造りの店内は独特の雰囲気。よくあるほっこりなアレとは違うのです。かつては遊郭として利用されていた建物を改装した、と知るとナルホドと思える箇所が見え隠れ。日光の水を使ったかき氷があって、ふんわりと大きな苺味のをコワモテのオジさまがカッカッカッとすごい勢いで食べてったのがいい感じでした、ふふふ。


夜は宇都宮市へ。餃子!餃子!と思って歩いてたら、用水路が流れる裏通りにおでん屋さんを見かけ、気になって入ってみた。こざっぱりとしたお店で、丸い鍋のなかに濃い出汁に浸かったおでん種がいっぱい。美味しかったー。