「3人のアンヌ」

ホン・サンス新作!おもしろかったー。
今回はなんとイザベル・ユペールが主演!で韓国の海岸が舞台のバカンス?映画。野暮ったさのなかに洗練さが一匙二匙。彼女がとにかく素敵で!自前という衣装も良くってねえ。これまでのイメージに無いキュートな姿も新鮮だったけど*1、青いシャツの姿が特に好き。立ち姿の美しさ。しゃんとしてて凛々しくて…。3つのストーリーの中でも青が一番好き。ライフガードの唄もサイコー。あのシーンの撮り方とかもう、、ぐっときて、静かに興奮してしまった。

あのシーンがどーたらと思うことは多々あれど、書く気が起きないのがホン・サンスマジック故か。
書こうとしても結局今作に限らずな話しになってしまうのだけど、”観察者”たる監督の「人生の描き方」に毎回頷いてしまうのだ。
日常は、おんなじことの繰り返し。非日常に身を置いたところで結局はいつもの自分がそこにいて、同じことを繰り返す。でも。同じ言葉でもタイミングや場面が変われば違う言葉となり、右を選ぶか左を選ぶか、何気なく違うものを選ぶ、見える風景が異なっていき、毎日が続いていく。ちょっとづつズレていくそれは見落とすであろう些細なもの、そして繋がっていく、反復反復反復、ステップ踏んで、ループループループ。その繋ぎ目に滲み出る、人間の可笑しみ。
「人は人とわかりあえない」って常套句が根底にあって、時に辛辣なんだけど、可笑しみがふっと救い上げてくれる。
こういう目線を持つホン・サンス監督を私は信頼する。
などと書くと大袈裟なようだけど、薄い色味のなかでひたすらトボケて軽妙に飄々と漂ってる、楽〜に見たい、愛すべき映画。
んでも今回はお坊さんとの禅問答が馴染めなかったなあ。敢えていわんでもーって言葉の応酬だったから。


昨日シネマート新宿。335席の大スクリーン!思い切った!んだけど、現実は甘くなく20人くらいだったかなあ…涙。。。オシャレ風味なチラシにしてものの、、ってトコでしょか。公開2週目にしてたった62席の小スクリーンへとはー。こっちは狭い部屋に詰め込まれた感じでねえ。大スクリーン、嬉しかったし、波の音などサウンドスケープも楽しめてよかったんだけども、やや大きすぎかなーと思わざるをえない。もちっとこじんまりしたとこで見たかった。昔ならヴィヴァンにアミューズあたりを思い出す。これに懲りず、配給さんはこれからも頑張って公開してくださいね、お願いします。

はじめてみたとき、うわわわわーってなった作品。

*1:予告編でユペール様主演映画が流れたけど、これがまあ過酷そうな内容でね…屹然としたお姿であった