「彼岸花 〜デジタルリマスター 」

12月12日は小津安二郎の生誕日であり命日であり、googleのトップページには「東京物語」をイメージした画像が掲げられていた。
さてその翌日、神保町シアターにて「彼岸花」をデジタルリマスターで見た。ファーストショットの東京駅、赤煉瓦の美しさ!今は塗り直したキレイさが目立ってしまい馴染んでいないけれど、昭和33年ではこんな色だったのだなあ。おなじみの薬缶を始めとする小道具の「赤」の色調や大きさも様々で、バランス感覚が凄まじい。
でも「デジタルリマスター」とはいえ変わったと目を見張ったのは「色合い」ではなく、「ツヤ」だった。オフィスビルのガラスの波打つ輝きや、佐分利信のポマードで撫で付けた髪のテカリだったり。。。
数年ぶりに見て妙に心に残ったのは箱根の湖のボートから手を振る有馬稲子で、その光景が妙に眩しくて懐かしくて、なんだかそんな娘を見つめる田中絹代の気持ちになっていたことに今気づいた。

BRUTUS (ブルータス) 2013年 12/1号 [雑誌]

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中井貴一のインタビューがとてもよかったなあ。映画監督として神格化していない視点で。