ダクソフォン、不思議な魅力の楽器

田園都市線あざみ野駅下車、横浜市民ギャラリーあざみ野での「Listen to the Daxophone」すごく楽しかった!

2011年に亡くなったドイツの音楽家ハンス・ライヒェルが開発し創作した”ダクソフォン”と呼ばれる、未知の楽器についての説明は、言葉では説明しがたい。私は殆ど情報を得ずに向かったのですが、弦楽器と打楽器と声を併せ持つ不思議な楽器ダクソフォンに魅了されました。その多構造な魅力は即興演奏家でありフォント・デザイナーでもあるハンス・ライヒェルそのもので、音・演奏方法・形などすべてに渡って衝撃的でした。でもなんとも愛らしいのです。

会場に入ると暗闇のなかへ……日本で唯一のダクソフォン奏者である内橋和久による17チャンネルのサウンドインスタレーション「ein Wald von Daxophone−ダクソフォンの森」が広がっていました。グリム童話を思い出したのは、ハンス・ライヒェルがドイツ人だからかな。部屋の中いろんな角度で見て聴いて。森に迷い込んだようでした。
次の部屋では、ダクソフォンの特徴であるタングという木片が壁一面に並んでいて、とても美しかった。すべてライヒェルが手作りしていて、見ているだけでワクワクしてきます。
同じ形がひとつとしてないタングの音色を、サンプラーを使って聴けるアイデアも良かったです。

彼が作ったギター(ダブルネック!)も楽しいし、フォント・デザイナーとしての作品はインテルのロゴにも使われていて、洗練された形が美しく、壁に並んだタングと共通していました。

今回の展示は彼の意を汲んだ設営とデザインワークが素晴らしかったです。元々は、学芸員さんが10年くらい前にこの楽器を知り、いつか展示を企画したいと考えていたそう。これほどの内容が無料ですし、様々な方面から協力を得つつ実現したのではないでしょうか。タイミングとして良かったのかもしれません。
爆音映画祭もそうなんだけど、その素材をただハコに流し込むのではなく、キュレーション力とか巻き込む力とか、そういうのこそ、大事だなあと思うのです。

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