ゲルハルト・リヒター-絵画の彼方へ-


我が家から2時間半、辿り着いた川村美術館は
遠い故になかなか行くことができないけど
好きなところ。
ちょっとした遠足気分。

白黒写真を拡大してカンヴァスに描きうつす
「フォト・ペインティング」の曖昧模糊な美しさ。
Daydream Nation
sonic youthの名盤「daydream nation」の
ジャケでも馴染み深い、「2本の蝋燭」の
ぼわあっとした炎。
その揺らぎはまさに「白昼夢」で。


そして「雲」は、
白の合間の濃厚な青が眩しい。
憧れのような、青。
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一面グレイで塗り込められた
「グレイ・ペインティング」は
ぼんやりとしたこの画面の、
向こうに隠された色を見たくて、
じいっと見ていると浮かんでくるようで。
静かな砂嵐。
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アブストラクト・ペインティング」に
使われている色のかけ合わせは、
ヒリヒリとささくれのような、ノイジィさ。
最初は喧嘩してて痛いのだけど、
次第に向こうに見隠れする色と
自分の中に浮かんでくる色とがかけあわさって
とっても気持ちよくなるのだ。
ギターノイズを聴いていると襲われる、
あの感覚とおんなじ。
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巨大な透明ガラス板が重なりあってる
「11枚のガラス板」に向かっていると
そこに写り込む自分の姿と他の作品とで、
新たな世界が生まれてくる。
現実のなかの、
虚像なのか幻影なのか自分そのものなのか。
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どの作品も、見ていると
新たなイメージが浮かんでくる、しかし
そこに行けそうなのに行くことができない、
掴めそうで掴めない、感覚。
今、見ているものはほんとうか否か。
自分はそれをほんとうに「見て」いるのだろうか。
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さてはて、この美術館は
田舎のなかにぽっかりとあって、
池と散策路が広がって、とても気持ち良いのです。


願わくば、「マーク・ロスコの部屋」が
もっと広く、天井高いといいのになあと
思うのですが。
http://www.dic.co.jp/museum/exhibition/richter/index.html