この頃見てよかったもの

字ばっかで長々続きますが記録として。決め打ちで行ったのではない展示にガツンとくるとほんと嬉しい。

【針 個展「愛されたい」】
ここのギャラリーで先週行われた“BabyBabyBaby”な写真展を見逃してしまったところ、併設の本屋内で一部開催中とのことで行ってみたのです、元々は。その写真もヨカッタんだけど、そのときのギャラリーで個展をしていた作家さんのイラストがすっごく良くって、見入ってしまった…。
会場にはピチカート・ファイヴ野宮真貴イケイケ時!)がかかってて、真ん中に部屋を模したように平机と画材が置いてあって、そこに正座してベレー帽のオンナノコが折り紙してるの!ななないったいこれは?この90年代っぷりはいったいなに?なんつうインスタレーションなの?と驚きつつ展示を見ると、そこにはオンナノコがイッパイ。
子供の落書きみたいな描線で、かわいくて、ずれてて、どこか不安定で。。
いわゆる「アニメ絵」というのでしょうか、この手のキャラっぽい絵柄は好きではないのだけど妙に惹かれるのです。ずっと見ていたくなる。カラーの作品もよいんだけど、壁一面にいーっぱい飾ってあるやつがすごくよかった。紙の切れ端なんかにサラサラっと描いちゃったような、オンナノコのちっちゃいイラストがひとつひとつサランラップにくるまって、それをつなぎあわせて壁面に飾ってあるのです。オンナノコの揺らぎを真空パックしたみたいな、どこか未成熟なエロさがあって、ひとつひとつ追うように見ました。
で、折り紙してるオンナノコは作家さんだったの!販売してるバッジを付ける為に折り紙をしていたのですな。なんつうか、そんな感じも良くてねえ。。。で、あれ?けっこう若いなあと思ったら「1986年」生まれですと!どーん!ピチカートも当時聴いてたわけじゃないってコトか…。
針さんのサイト→ http://www.ohanabatakeso-da.jp/


【中山 ダイスケ 「Ornaments」】
マークの展示を見てから辺りをお散歩して通りかかったギャラリーに立ち寄ったら、中山ダイスケさんの個展、最終日だった。正直なところ苦手意識がある作家さんだったので、あら、こんなテイストだったかしら…とちょっとびっくり。
パッと見「古典的な風景画を展示してるギャラリー」然としてるんだけど、、、その古臭い油絵の中に一部分、派手な色使いが塗られてる。片田舎の田園風景なのに、ところどころ不自然なピンクや黄色の四角が点在してるの。
そのポイントが効いてて面白いなあ…でもあれれ?この風景、今、よく見るよなあ。地元へ帰ったり国内を旅しているとよく見る!
そう、あれだ、田んぼや畑の向こうにドンッと鎮座するイオンやブクオフのある風景…。
あーっ!て思ったらギャラリーの方が『地方の家具屋やディスカウントショップなどで売られている絵画に、カッティングシートなどの素材を貼ることで現在の景観を作り出している』のだと教えてくれました。ナルホド!!
こういう切り口、すごくすき!いわゆる「ファスト風土」な風景は揶揄されながらも続々広がっていて、我々はうんざりしながらも恩恵を受けている。そんな社会問題化され、もはや当たり前の事象を、ただ嫌悪感バリバリに提示するのではなく、「どう?」って感じで見せてくれる。その茶目っ気というか遊び心はそもそもの洞察力あってこそで、現代美術にありがちな講釈垂れるのでもなく、サラッとしてる。下世話なところが感じられないのは、自前の品性なのだろうなあ。
ギャラリーのサイトで作品見ること出来ます↓
http://www.kodamagallery.com/index_jpn.html


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【若林 奮 展 - 水没】
彼のあおいモノクロームな作品を見ていると、じわじわとイメージが湧いてくる。それはとてもカタチにならないもので、自分でも掴めないけれど、自分が自分でなくなるような感覚。作品に蓄えられた時間が遅れてやってきて、今と共鳴する。大好き。これからもどこかで展示はされるだろうけれど、新作ではないことがほんとうに哀しい。でもこうやって出会うことが出来るのだ。
http://www.kenjitaki.com/wakabayashi/iw2010T_press.html


【チームラボ×高橋英明「浮遊する楽器」】

暗闇にぼわんと灯りが点った大きなバルーンがいくつも浮かんでる。触れると色が変わり、音色を奏で、それぞれの光が共鳴しあう。ぽーんぽーんといくつも触ると音が重なりあって、色も変化して、楽しい!音が減っていったときの微かな共鳴もきもちよくて。ただ、「音が鳴る」ことに主軸があるので、会場内の音響が良いともっと良いかも。音色の違いでまた全然違う印象になりそう。


【マーク・ゴンザレス"INVITATION"】
90年代から抜け出せない私にとってはいつまでもカッコイイ存在のマークですが、今回の個展は彼の日々がそのまま写しだされていて、あのころの感覚と変わっていないなあってワクワクした!マーカーでぐりぐりっと描かれた線からはリズムが溢れ出し、スケートボードの走る様が聞こえるよう。
街が描かれているイラストが好き。くすくすと笑みがこぼれる。音楽や街並みと共にマークの日々が見えてくる。